7.波乱の始まり...ですわぁ...
新しい家...シルヴァ邸での生活が始まった。
変わったことと言えば離宮の庭園に向かうのに馬車を使う事や、アルマの代わりに偶にイルマが世話をしてくれたり...それと...。
「エレオノーラ!朝ごはんよ!」
「......ぅむ...みあと...おあお。(みさと、あはよう)」
「また、徹夜して研究してたの?顔が死んでるよ?」
「......?」
幼い頃のクソガキムーブはなりを潜めたが、相変わらず世話が掛かるエレオノーラ。シルヴァ家では可能なら朝食と夕食を家族で過ごす。
家族仲がいい証拠に毎回和やかな雰囲気の食事なのだ。
シルヴァ夫妻もまるで娘のように可愛がってくれる。きっと私の過去を見たせいで同情してくれているのだろうと思って、
『もし、夢の事で気を遣わせているなら私は大丈夫ですよ?』
って進言してみたら、なんだか二人目の娘が出来たみたいで嬉しい。迷惑でなければ少しだけ構わせてほしい。
なんて嬉しそうにイケオジと妙齢の美女、ピーターさんとレオニーさんに言われてしまっては頷くしか出来なかった。
そんな朝食にほぼ毎回ギリギリなのがエレオノーラで、アルマとイルマとイースの四人がかりで叩き起こす。
部屋には壁やら床やら天井に魔法陣が書かれていて、宙に浮く輝く宝石やひとりでに動く羽ペン、コンパスから浮き出るローエンベルク王国領土のホログラム?のようなものまであり、令嬢の部屋と言うより研究室のようであった。
まあ、住む場所が変わっても特に変わりなく、優しいシルヴァ夫妻とエレオノーラとアルマ達と仲良く暮らしている。
そして空いた時間に私は積極的に孤児院や病院へ慰問する事にしている。
あの謁見の間での出来事から正式に発表はされていないが、聖女が”自身の自衛”の為異世界から渡ってきたと言う噂話が流れている。
陛下はもう少しタイミングを計って公表するようだ。
私はエレオノーラの親戚として慰問して、病状が深刻な患者を優先して癒しの力を使っている。
異国で学んだ特殊な医療の心得がある変わった貴族令嬢として少し名が知られ始めているが、シルヴァ公爵とランギエール侯爵、王家の後ろ盾が目を光らせているので安心だ。
一応、治療の際に激しい光が発生するので目隠しをしていただく...と言う体で私の髪と瞳が変化する様子は隠している。
癒しの力を使うと髪色が戻ってしまうので開き直って髪色はそのままにして過ごしている。
案外アルマが傍に居るのもいい感じにカモフラージュになっているのかも!...なんて。
偶に謝礼を渡してこようとする患者もいるけれど丁重にお断りしている。貴族ならまだしも、これまでだって治療でお金を使っているだろうし、そのお金はその患者の大切な人と使うべきだ。
それに個人のお金だってアルマが王家とシルヴァ家から褒章が出ていると教えてくれたのでそれで十分だ。
そのお金はエレオノーラやお世話になっている人に...もし自分に何かあった時に私が一人で生きていく時に使えるだろう。
そんな事にならなければ一番だけど...。
お世話になっていると言えば、慰問の送り迎えと庭園での作業で毎回フィリップさんに同行してもらっている。
正直忙しい筈なのに申し訳ない...。
きっと謁見の間での出来事の後、
『不甲斐ないかとは思いますがこれからも傍にいるときも、そうでないときも私たちが守ります。ご安心を』
って言ってたことを気にしてるんだと思う...。
本当に律儀で優しい人...。
そんな毎日を送っていた私に一波乱起きそうな出来事が舞い込んだのはある日の夜更けだった。
今日は特に用事もなく、夫妻もエレオノーラも用事があるらしいので、夕食をアルマ達と合わせて四人で食べてだらだらした後の夜更け、部屋をノックする音から始まった。
「みさと様、エレオノーラお嬢様がお越しになられています。お通ししてもよろしいでしょうか?」
え?今更確認取るの?いつもなら鬼のように扉をコンコンして「みさと!○○するわよ!」って手を引っ張っていくあのエレオノーラが?
部屋に入ったエレオノーラはなんとも萎れた顔で元気を無くしていた。
「え、エレオノーラ?」
「......」
黙って私に抱き着くエレオノーラ。
人様の...私の胸の中で深呼吸するのやめてほしい。
「わたくし、みさとと結婚するわ...はぁ...生みさと、良い匂い...」
どういうことなの?
イルマに視線を向けるといつも視線に気が付いてこちらを向いてニコッとしてくれるイルマは、淡々とお茶の準備をしている。
アルマは私からエレオノーラを引き剥がすべきか、それとも最愛の主の邪魔をするべきでは無いのでは?という二択で一人、勝手に慌ててる。
こういう時異常に冷静なのがイルマで、普段の冷静沈着無表情な雰囲気を盛大に裏切るのがアルマである。
閑話休題。
何だかとてもややこしい事になっている気がする。
殿下と何かあったのだろうか?今日は殿下に会うとは聞いてないし...。
まあ、とりあえず...
「頭グリグリするの止めようか?」
ここからの展開をどうするか何パターンか考えていて決めかねていましたが決まったのでササっと進めます。
なんだか今まで自分が読んでいた作品も、もしかしたら作者が泣く泣く削ったエピソードが沢山あったのでは?なんて思うと構成を考えるのも力が入ります。
次回、エレオノーラにいったい何があったのか?そして自然にセクハラするエレオノーラの運命は如何に?!
次回もお楽しみに!
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