4.気持ちは伝えるもの
「エレオノーラは殿下の事好き?」
気を取り直して私はエレオノーラの気持ちを確認してから進めることにした。
「え?そりゃあ、王子様よ?それにあの輝く金髪に麗しいお顔、次期王として十分な頭脳に社交性。これが気に入らない令嬢が居るとは思えませんわ!」
「で、好きなの?」
「......そのぉ、わたくしは...あの...」
再度モジモジし始めるエレオノーラ。その片鱗でもいいからカスパール殿下に見せてあげれば...ギャップとかは分からないがいけそうな気がするんだけれど...。
もういっそのこと秘密でこの姿を見せる?いや、それは問題解決にならない。
二人きりになった時、素直になれない関係では意味がないのだ。
「わたくしは?」
「わたくしは...殿下が好きです......。みさとならもう既に知っているでしょう...。意地悪ですわ...」
珍しく萎れた薔薇の様になってしまった主を珍獣を見る目でみるアルマとイルマを横目に更に追撃する。
「私に照れてどうするの!それとも私が伝えてあげましょうか?『好きです!』って」
「だだだ!ダメよ!みさとに惚れてしまったらどうするの!?」
いや、無いでしょ...。気にする所が違う。
「自分の口では別に伝えなくてもいいんだ?その程度なの?」
「...っ!違うもん...」
もん...って...。なんだか昔を思い出す。いつも弱音を私に吐くときは可愛らしく...ケツを蹴りあげたくなる様子になってしまうエレオノーラ。久しぶりに見たかもしれない。
「い、イルマもアルマもこっちに座って相談に参加しなさい!そしてわたくしの隣で味方をなさい!ほら!はやく!」
ソファーで自分の左右をバシバシ叩きながら訴えかけるエレオノーラ。
イルマに引っ張られてアルマとイルマはエレオノーラを挟むように座る。
「エレオノーラ?私はエレオノーラに家族ってきちんと口にして貰えて嬉しかったよ?
私もエレオノーラを家族だと思ってる。この先も変わらないしエレオノーラに嫌われても...私はエレオノーラを大事に思ってると思う。
エレオノーラはきちんと気持ちを言葉にする大切さを知ってると思ってた。
殿下を待っていてはダメ。それこそ悪役令嬢らしく好きって言ってもらって既成事実を作るくらいしないと」
鞭の次は飴。エレオノーラはこれに弱い。本人に自覚は無いが...。
「よ、夜這い?」
「気持ちを確かめ合うって意味の既成事実ね。とぼけないの」
アルマとイルマの腕をギュッと自分に寄せて抱きかかえて『う~ん、う~ん』とモジモジするエレオノーラ。
イルマは最早相談事などどうでもいいかのようにニコニコしながらクッキーを食べている。
アルマはエレオノーラをフォローしようとあわあわしてる。
「いきなりだと難しいだろうから...とりあえず、褒めることとスキンシップを増やすことから始めましょう。
なんだかんだ当たり障りが無いくらいに褒めてるのは見たことあるけど...。
例えば、『今日も会えてうれしいです』とか『手を握ってもいいですか?』とかエレオノーラから言うのよ。
どう?これならいけるかもって思った?ね?」
「そ、そんな...そんなのとってもはずかs」
「いけるよね?」
「おぉ...うっ...努力...します」
顔を真っ赤にして俯くエレオノーラに、私は秘密でここに殿下を呼んだ方が早いかも...なんて思いながらクッキーをかじるのであった。
ローエンベルク魔術アカデミー。
通称、アカデミー。魔術の才を持つ者がその才を磨き、貴族は国や家に恩恵を、平民は将来の為、日々切磋琢磨している場所。
貴族の子息令嬢は魔力の有り無し、多い少ないに関わらず基本的にアカデミーに通う。
エレオノーラのような飛び級入学、一年足らずで全ての過程を終了して卒業資格をもぎ取る逸材は初めてだったが、普通は青春の多くをここで過ごす。
貴族の子息令嬢にとってここは立派な社交場。学校の中であっても舞踏会やお茶会と同じような気持ちで居なければ色々うまくいかない。
将来の伴侶を見つけたり、派閥でのご機嫌取り、別派閥の情報収集、やる事も意識することも多い。
そんなアカデミーに現れた一輪の花...。
彼女は男爵家の令嬢で強い魔力に恵まれた容姿...アカデミーに通っていないみさとや、魔術院とみさととの交流で忙しいエレオノーラは知らなかった...彼女を...。
彼女の名前はソフィア・ド・シャンポール。
今やアカデミー内で多くの子息を侍らせる魅惑の令嬢。
平民、男爵、子爵の子息にとどまらず、公爵、侯爵、伯爵の子息からもアプローチを受けているという信じられない状況だ。
勿論一部の令嬢も黙っていない筈であるのだが...彼女には不思議と特定の令嬢にも気に入られていて、彼女に手を出せば侍らせている子息令嬢の報復が待っている。
噂では婚約者がいるのにも関わらずソフィアにアプローチを掛ける猛者すら現れる始末。
一体何者なのか...。
まだ何も知らないみさとがもし、この状況を知っていて目にしたなら...こう言うだろう。
「あ、もしかしなくてもこれ...主人公じゃない?」
遂に本格的に動き出した第三章。物理的にも令嬢としても強そうな男爵令嬢が遂に登場!
エレオノーラと殿下、みさととフィリップの関係は如何に?!
次回もお楽しみに!
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