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1.暇すぎる聖女生活、距離を詰めるみさと

「暇だな~。何もしなくていいのはいいんだけど...なにかしてないと落ち着かないというか」


私はこの異世界に来てから今のところ最大の難関に頭を悩ませていた。

この世界に来てからそろそろ一週間、始めの数日はエレオノーラとカスパール殿下にフィリップさんがよく尋ねてきてお茶を一緒に飲みながら会話を楽しんだり、この世界に関することや礼儀作法について教えて貰ったりして時間を潰していた。


最近デザートを食べて無かった私は、食後のデザートのあまりの美味しさに一口食べては「おいしい、おいしい」と呟いて夢中で食べていた。

それをじっと見ていたエレオノーラが無言で私のお皿と口にデザート入れて来ようとするのを、カスパール殿下とフィリップさんが止めたりと、意外にも...意外でもないか...賑やかなお茶会を送っていた。


そんな賑やかなお茶会があるとはいっても、今まで忙しい毎日を送っていた影響か始めの数日が過ぎたあたりで私の身体がうずうずしてきて、アルマがお茶を淹れるところを間近で観察しながら質問攻めしたり、なぜか召喚されてから読めるようになったローエンベルク語で書かれている書物を読み漁ったりしていた。


しかし、もう一週間だ。

なにもせずただ運ばれてくる美味しい食事に、恐れ多いと拒否するアルマを無理やり席に着かせて一緒に食事をするだけでいい毎日は流石に暇すぎる。

本だって元々沢山読んでいたわけではないし、あまり自分で紅茶を淹れようとするとアルマがじっーっと見てくるのだ。

「世話焼きなところがエレオノーラに似てるね」って言ったらおかしなポーズを取って言葉を無くしていた。

クール系褐色美女が「ナンデストーーー!!!」ってセリフが似合うへんてこなポーズを取っている所はかなりシュールでギャップ萌えを感じた。


アルマのへんてこなポーズを思い出しながらふと思いついたことを口に出す。


「アルマ、この部屋に貴方の着替えはあるの?」


「はい、せい...み、み、みさと様。御座います。室内で汚してしまい、早急に部屋の外に用事がある場合にしか使われる予定はありませんが、目立たぬように常備してあります」


そっか。ふ~ん......。


「あの、...聖女様」


「....................................。


意地悪したいわけじゃないのアルマ。けど、ずっと一緒に居るわけだし聖女様ってこれからきっと沢山呼ばれるし、仲良くしたい人には名前で呼んで欲しいなって思うのよ。

アルマだってアルマさんって呼ぶことに抵抗したんだし、仲がいい人しかいない時はみさとって呼んで欲しいかなって。

私、全然友達とかいなかったから、せめて仲がいい人には名前で呼んで欲しいなって。迷惑かな?アルマ?」


私は妙案を思いついた...。

それにはアルマの協力も必要でここでギュッと距離を詰める事にした。

それに聖女様って呼ばれるより、アルマには名前で呼んで欲しいとここ数日一緒に過ごして思っていたのだ。


「恐れ多いと言うのが本音でございますが、主の望みならば従います。

しかし私は元は下賎の身、エレオノーラ様に拾われて身に余る日々を送らせていただいております。

聖女であるみさと様が親し気にメイドを気遣うと、その...みさと様の外聞につながるかもしれません」


「エレオノーラならそんなこと気にするかな?」


「それは...」


彼女にとってエレオノーラは恐らくかなり重要なものだ。エレオノーラ中心に動いていると言っても過言ではないだろう。

過去に何があったか知らないが、彼女はそんなエレオノーラをよく観て理解している筈だ。


エレオノーラはよくアルマとイルマの自慢する。

エレオノーラは優秀な侍女を侍らせている自分は凄い...と思わせたいのかもしれないが、言葉の節々に二人への親しみを感じるので正直自分の大事な人自慢みたいになってしまっていて微笑ましいのだ。


そんなエレオノーラに仕えているアルマには、この質問はちょっと意地悪だったかもしれない。


けれど私の価値基準はまだ前の世界のままだ。

いきなり地位が上がっても威張ったり出来ないし、折角友人を作れるチャンスなのだ。

多分距離感を間違えている気がしなくもないけれど、なんだか仲良くできそうなアルマと仲良くなりたい。

エレオノーラがくれたチャンスだと思って今日の私は攻めるのだ!


「例えば何も知らない、私が聖女だと、アルマが侍女だと知らない人の前ならきっと私達に立場の差異なんて無いよ。

流石に弁えた方がいい場面では頑張って空気を読むけれど、ここには私たちしか居ないし...ね?」


これで折れてくれ~と念を込めて笑顔で攻めて落とす私。


「失礼を承知で申し上げますと清廉な雰囲気とは裏腹に、みさと様はエレオノーラ様と似て押しが強いのですね。このアルマの負けで御座います。どうか敬称を外すのだけはご容赦を」


に、似てるかな...?

私とエレオノーラ...。

全然怒ってないけど無許可で異世界に召喚してくるレベルの”押し”と同レベルかな...?


「嫌な訳じゃないけど...似てるかな?

けどこれでこの妙案を実行に移せるかもしれないわ」


「妙案でございますか?」


そう、完全に思い付きだがこれなら私はあまり周りに迷惑を掛けずに暇を潰せる...。


「アルマ、因みにその常備してるメイド服ってどこに置いてあるの?」


今考えたらまあまあアルマに迷惑を掛けることになるのだが、これを機に私はアルマと仲良くなれたと思っているので結果オーライ...かな?



今まで抑圧されていた元の性格がもしかしたら表に出かかっているのかも知れないみさとでした。


別に設定していたわけではないのですが、これもしかしてアルマ苦労人設定が勝手に追加されるかもしれませんね...


続き気になると思っていただけたらお気軽に☆☆☆☆☆を★★★★★にポチっとよろしくお願いいたします。

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