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拡大の阻止

 より大きな悲劇も生まれる。

 探検隊から生えた花の研究をしていた者達。

 彼らの首筋にも腫れ物が出来たのだ。

 植物の種が彼らにも付着していたのだ。

 それが芽吹いたようだった。



 即座に全員が隔離された。

 助けるためではない。

 感染を防ぐためだ。

 どうにかして助けたいが、それは出来ない。

 植物に傷を負わせただけでも死ぬのだ。

 花が咲いて散るまでの間、どうにか生かしておくしかない。

 それがせめてもの情けだった。



 だが、下手に近寄らせるわけにもいかない。

 種がどのように付着するか分からないのだ。

 接近するのも危険だ。

 食事を提供する以外の接触は極力控えられた。



 そして花が咲く頃。

 さすがにそうなると食事の提供も難しくなる。

 全身を覆う防護服を身につけて接近することも考えられたが。

 その防護服に種が付着、外に拡散すると面倒なことになる。

 隔離室の扉を開くのもためらわれた。



「やむをえん」

 つぼみをつけた頃から、食事の供給は止まった。

 危険をおかしてまで食事を提供するわけにはいかなかった。

 新たな犠牲者を生む可能性がある。



 被害者が暴れ出したのはそれからだった。

 壁を叩き、ドアを叩く。

 口に入りそうなものにはかじりつく。

「食料を求めてるのか?」

 様子を見た者がそう口にした。



「花を咲かして種を作る。

 その為に栄養が必要なんだろう。

 それが得られないから、食べ物を求めてるのかも」

 そんなことがあり得るのかと思われた。

「分からない。

 だが、寄生虫には寄生した動物を操るものもいるという。

 あの花も、そういうものなのかもしれない」

 新たに考えられた可能性。

 それを聞いた者は背筋を更に冷たくさせていった。



 その騒動も花が咲いた頃には落ち着いた。

 残った体力も尽きたのか、被害者は床に倒れ伏している。

 そして、花が枯れて種を残すと同時に痩せ細っていった。

 前回もそうだったように、その様子は枯れた植物のようだった。



 そして死体と部屋はそのまま焼却されていく。

 火炎放射器によって部屋全部が燃やされていく。

 どこにあるか分からない種ごと炎に焼かれていった。



 それを最後に、人から花が咲くことはなくなった。

 世界中に蔓延する可能性はここに潰えた。

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