File8 名城俊次
俺は九鬼泰照。裏社会で活躍する情報屋だ。
今宵も依頼者が来る。
今回の依頼者は、大学生の青年、米沢恒広だった。
「依頼内容を」
「父さんを殺したくせに何もされなかった男を社会的に抹殺してください」
そう言って、青年は話した。
依頼者である米沢は、好きな人物がいた。
それは、父親である米沢克郎だった。
小さな頃から克郎は息子である恒広を溺愛していた。
そのため、息子にできることを全てやってのけた。
恒広本人は、父親の息子愛を感じ取り、自分もできるだけの親孝行をしていた。
しかし、二人の仲は裂かれる事になる。
数年前の父の日。米沢は父の帰りを待っていた。しかし、いつまで経っても父親は帰ってこない。
それはなぜか。それは、何者かが自分の父親を殺していたからだ。
そして、米沢はこの事を警察から知り、むせび泣いた。
しかし、『米沢克郎殺人事件』の犯人は、一向に逮捕されなかった。
そして、いつの間にか、警察の捜査は打ち切りになっていた。
無論、殺人事件には時効は無い。米沢はこれに何かを裏があると踏み、とある男へと電話を掛けた。それは、記者である友人だった。
そして、その記者によれば、例の事件の犯人は、もう分かっているのだ。
それは、『株式会社ナシロ』のCEO、名城俊次だった。
名城は社長をしている傍ら、裏では殺人をしていたのだ。最初は足がつかないであろう不良やヤクザ、半グレを殺していたが、遂に一般人に手を出してしまったのだ。その一般人というのが、米沢克郎だったのだ。
名城は警察に金を払い、この事を無かった事にしていたのだ。
そして、この事を知り、ここに来たのだとか。
「お願いします!この男を、抹殺してください!」
米沢は怒り狂っていた。
「わかりました。では、この男を社会的に抹殺いたしましょう」
まず、俺は名城の事について詳しく調べ上げた。
名城俊次。37歳。先程言った通り、株式会社ナシロのCEO。殺人癖を持っており、年に一、二度人を殺さないとイライラしてしまうほどである。さらに、半グレ組織と関係がある。
俺は早速、マスコミにこの事を暴露した。
そして、この一件は解決………したはずだった。
二日後、暴露屋の事務所に向かっていると、倒れている青年を見つけた。
駆けつけると、そこには米沢が倒れていたのだ。
「くっ………」
「大丈夫か!?救急車を」
すると、米沢はスマホの画面を見せた。
「こ……この男です……………」
そこには、パーマのかかった男がいた。
「どうか…………」
米沢は最後の言葉も言えずに息絶えた。
「………この野郎。やってくれるじゃねぇか。死には、死を返すしかねぇなぁ」
俺は謎の男を調べあげた。
この男は、大神田隆平。木ノ原や高御堂同様、グレイトキングの幹部だ。
俺は組に許可を取らず、奴のいる事務所にカチコミをかけた。
ドアを蹴破ると、構成員がこちらにやってくる。しかし、殺気を放つと、構成員は気絶した。
そして、大神田がいるであろう部屋に入った。
そこには、大神田と名城がいた。
「なっ……お前は、九鬼!」
「おっ、アンタが名城さんを堕とした野郎かい?」
「そうだ!この野郎、俺を社会的に抹殺しやがって………」
「………お前等は楽して死なせねぇ」
俺は服を脱ぐと、すぐに名城に近づいた。
「はやっ…」
俺は高速で名城の腹を殴った。
「ふべっ……」
名城が気絶すると、大神田は何故か笑みを浮かべていた。
「何が可笑しい?」
「これがお前の力かぁ…まぁいい。お前を殺るだけよぉ!」
大神田がこちらに突撃する。俺は高速で横に避けた。すると、左腕に熱い痛みが走った。
「くっ……」
「おっと、俺の攻撃が効いたようだな」
左腕を見ると、小さく傷が出来ていた。
「痛ぇな…この野郎」
「さぁ、来いよ。その代わり、切り刻まれた死体になるがな」
俺は奴の手にあったナイフを見た。
「なら、刃物には、刃物よ」
俺は懐からドスを取り出し、奴の方に突進した。
「しゃらっ!」
そして、奇跡的にドスは奴の腹に刺さった。
「くっ…」
そして、奴は倒れそうになり、何かを飲んだ。
「ケケケッ」
「お前、何を飲んだ?」
「今飲んだのは遅効性の毒。死ぬんなら、毒死よ」
そして、奴は腹を抑えたまま、その場から逃げた。
「………変な奴よ」
俺は目覚めそうな名城の心臓をドスで刺し、その場から退散した。
「まぁ、これで、アイツも浮かばれるよな」
俺は、手を合わせ、黙祷した。




