File28 愚連隊『デストロイヤー』と大重組
俺は九鬼泰照。悪を世間にバラしていく情報屋だ。
今回の依頼者は、家なき中年男、酒田祥一。
「依頼内容を」
「自分たちの我欲のために、皆を殺した奴らに鉄槌を」
酒田は怒りと悲しみで震えながら語り始めた。
黍出町の上、峯城街のドヤ街。そこに、酒田は住み着いていた。
酒田は若い頃、理不尽な理由でクビを宣告され、会社を辞めてしまった。それが故に、家族から見放され、ホームレスとなった。
しかし、そのドヤ街にいた者たちに、酒田は優しくされた。
日雇いバイトで金をため、その金で皆と飲む。今までの人生が馬鹿みたいに見えるほど、楽しかったのだとか。
しかし、その人生を断たれる事となる。
ある日の事。この日は日雇いバイトで、深夜にドヤ街に戻ってきた時であった。
皆は寝ているのだろうか。そこはとても静かであった。だが、すぐに血なまぐさい臭いがした。
すると、このドヤ街を仕切る男、桜田肇が近寄ってくる。
「酒田!逃げろ!今すぐに!」
「どうしたんですか、桜田さん」
「話はあとだ!今すぐ……ぐはぁっ!」
桜田がその場に倒れる。
「ひっ、ひぃぃ!」
酒田は驚き、尻もちをつく。すると、目の前に何かを持った青年が現れる。
「よぉ」
「な、何だお前!」
「特別に見逃してやる。死にたくなければ、すぐにいなくなれ」
酒田はその言葉に聞かざるを得なかった。そして、その場から去り、功楼町の南部に逃げた。
(どうしよう…これは警察に言ったほうがいいのか…)
酒田は功楼町のドヤ街に入り込み、そこにいるホームレスから、良からぬ噂を聞いた。
「デストロイヤーという愚連隊が、ホームレス狩りを行っていて、ホームレスのいた所を根城にしている」
噂程度だが、その話を聞いた酒田は、警察に行った。しかし、警察は噂話を信じてはくれなかった。
それに絶望した酒田は裏社会に精通するホームレスから暴露屋のことを聞き、ここに訪れたという。
「ただの噂かも知れませんが…もしそれが本当だったら、皆の敵討ちをしてください!どうか、奴らを地獄にぃぃぃぃ…」
「わかりました。では、奴らを調べてみます」
俺はその、デストロイヤーという愚連隊を調べ上げた。
すると、その噂は本当だったようだ。
愚連隊『デストロイヤー』。リーダーは大重賢佑。父親が武蔵野会の三次団体、大重組の組長、大重賢太郎であり、この愚連隊は大重組の傘下である。
デストロイヤーは、ホームレス狩りを現在行っており、ホームレス達から奪ったドヤ街を根城にしているそうだ。
俺はこの事を警察に売った。なんとか、デストロイヤーの構成員は逮捕されたものの、リーダーの大重と副リーダーの原田信児は逮捕されていなかった。おそらく、裏で手回しをしたのだろうか。
しかも、功楼町のドヤ街を襲撃するという情報を手に入れた。
俺は比嘉と伊波を連れ、デストロイヤーの事務所に襲撃をかけようとし、事務所から出ようとした。すると、とある男に声をかけられた。
「よう。九鬼。襲撃かけるんだろ。手伝わせてくれ」
そこには、高瀬組の組員、桑江僚馬がいた。
桑江さんは、投擲武器を用いる男だ。裏社会では、『投擲野郎の桑江』と言われている。
「桑江の兄貴、どうしてここに」
「俺はなぁ、佐伯の兄貴を殺されて、イライラしてんだよ。チーム絵札と武蔵野会の奴らは絶対に許さねぇ。アイツ等は死に値する」
「そうですか。桑江さんがいれば、百人力です」
俺は桑江さんを襲撃に参加させる事にした。
デストロイヤーの事務所は峯城街の廃ビル。
俺は一発、蹴りでドアを蹴り破る。
「うらぁ!お前たちは全員死刑だぁ!」
「なんだ!?カチコミか?」
「桑江だ!桑江もいるぞ!」
そこにいたのは、大重組の組員達。しかし、俺達は容赦なく死を与える。
「うらぁ!」
「ぐへっ!」
俺はドスで奴らを片付けていく。
「九鬼さん、桑江の兄貴、リーダーの部屋に行っててください!」
「わかった!雑魚どもは任せる!」
俺と桑江さんは、大重のいるであろう部屋にカチコむ。
「おりゃあ!」
「なんだ、テメェら!」
そこにいたのは、大重親子と原田。
「侵入者ですかね。任せてください。俺がすぐに片付けます」
すると、原田はテーザーガンを取り出す。原田の異名は『痺れ銃の原田』である。
「痺れやがれ!」
そう言って、原田はテーザーガンを発射する。
「うおっと」
「あぶねぇな」
俺達はそれをなんとか避ける。しかし、原田は奥の手を用意していた。
「ホラぁ!プレゼントだ!」
原田は小さな黒玉を床に投げ、そこから煙が発生した。
「うおっ!煙幕玉か!?」
「落ち着け、九鬼。奴の隙を見つければ…ここだ!」
桑江さんがそう叫ぶと、棒手裏剣を二本ほど投げた。すると。
「ぎゃあ!」
原田の叫びが聞こえた。
「ここか?」
桑江さんが原田を見つけたのだ。桑江さんは原田の首を掴み、こう言った。
「お前の人生、ゲームオーバーだよ」
「ぐ…クソォォォォォ!」
桑江さんは、ナイフで原田の腹を刺した。その時、煙幕も晴れ、大重親子は逃げようとしていた。
「逃さねぇよ」
「ふんっ!」
俺は息子の方、桑江さんは父親の方を捕らえた。
「さて、どういたぶりましょうかねぇ…」
「ひぃ!」
「大重賢佑。なんでお前はホームレスの人たちを殺した?」
俺は息子の方に問を投げかける。
「そ、それは、俺達の居場所を作るためだよ」
「そこは元々、ホームレスの居場所だったんだよ」
俺はドスで奴の腹を刺し、抉った。
「さて、父親の方は…」
どうやら、父親は桑江さんにより殺されていた。
「九鬼、いい情報が入った」
「いい情報?」
「あぁ。どうやら、この一ヶ月後、チーム絵札の奴らが苑頭町に襲撃をかけるそうだ」
「本当ですか。分かりました」
「一応、会長にこの事を言っておくよ」
「では、俺は一足先に」
俺は奴らの事務所を出た。
(チーム絵札。覚悟しておけ)
俺はそんな事を思いながら、暴露屋に帰った。




