File12.5 最終兵器の出所前日
この話を読む前にFile常岡その1•その2を読むと少し面白いかもしれません。
刑務所のトイレで、宇喜多と坂木はボコボコにされていた。
「た、たしゅけてくだひゃい…」
「俺ひゃち…もう二度とあんにゃことしにゃせんかりゃ…」
「ケッ…じゃあなんで被害者に岩佐さんを売るような真似したんだ?」
「それは……普通に岩佐しゃんが嫌だったかりゃです…」
「ほほう……で、その結果岩佐さんは地獄に落ちたんだ。救えねぇ話だよなぁ」
「すいません!すいません!」
宇喜多は自分をボコボコにした坊主の男に土下座をして謝った。
「すいませんがあれば、警察は要らねぇんだよ。おい」
トイレに数人の男が入ってきた。
「コイツ等は拷問のプロだ。余すことなく味わうといいさ」
「いっ…嫌だ!助けて!助けてくれぇ…………」
坊主男はトイレから出た。宇喜多と坂木の悲鳴を聞きながら。
すると、一人の刑務官が出迎えてくれた。
「いつものように無かったようにしてくれ」
「あぁ、例の口座に100万な」
「アンタもがめついね」
「それはそうと、アンタ、明日、出所するそうじゃないか」
「そうですよ。どうやら組が半グレと組んで裏で手回ししてくれたんですよ」
「ほう。アンタ、一年前に一人殺したのに、もう出るのか?」
「えぇ。誠に嬉しい話ですよ。さすが、『本堂迅』としか言いようがない」
「そうか。じゃ、出所したら殺されるなよ」
「ハハハッ。その時は自分でなんとかしますよ」
坊主男はそれだけ言って、自分の持ち場にさった。
「……………ふぅ…怖い怖い。別名、『武蔵野会の最終兵器』こと、常岡竜政。コイツが今の裏社会に出たら、皆、慌てるだろうなぁ」
そう言って、刑務官はその場を去った。