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File9.5 舐めた者の末路
寺野は逃げていた。
彼は、社会的に抹殺され、失脚してしまったのだ。
そして、本当に抹殺されるかもしれないのだ。
彼は以前、海外のギャング組織から貰った粗悪品の拳銃で、とある半グレ組織の構成員を殺してしまったのだ。
しかも、よりによってチーム絵札の構成員だったのだ。
なので、寺野は報いを受けないために海外に逃げようとしたのだ。
そんな矢先、向かいから緑のスーツを着た男、早乙女が来た。
その瞬間、寺野は血の気が引いた。彼は早乙女がチーム絵札の四天王ということを知っていた。
寺野は、早乙女と逆の方向に逃げた。
しかし、早乙女は言った。
「何故逃げるんだい?」
早乙女はゆっくりながらも、すぐに寺野に追いついた。
その狂人は、寺野の足を蹴り、転ばせた。
「ぎっ………」
「見ぃつけた」
寺野の背中を踏み、早乙女はポケットから拳銃を取り出した。勿論、寺野の使う拳銃より良い物だった。
「グッバイ」
その途端、夜道にいる者が、二人から一人になった。