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3.修行始まりました

「メリッサ!早く起きないと、朝ごはん食べ損なうよ!」

「今、行く!」


今日から私は、メリッサになる。初めてメリッサとして転生した時、頭の中にメリッサとアリッサがいて、凄く混乱して、慣れるのに苦労した。流石に繰り返したので、今は平気。

メリッサは田舎で育った13才の女の子。12才で親に売られてここに来た。でも、メリッサはそれを恨んだり、悲しんだりしていない。村では子どもが売られるのはよくある事だったし、売られた先のここは、毎日三食食べさせてくれる。暖かい布団で寝る事もできる。運が良かったと思ってる。毎日の訓練はきついけど、友達もいるから。


でもこの時のメリッサはまだ知らない。ここはそんな良いところじゃない。ここは暗殺者を育てる施設なんだから。


訓練に落ちこぼれたら、生きていけない。死にたくなければ落ちこぼれないようにしないといけない。

私の場合、死ぬとループが始まっていた。

1回目は15才で死んだ。2回目は14才。3回目は19才。


ここで鍛えて私はアリッサの人生で死ぬ危機を1つづつ回避してきた。


昨日までは基礎訓練だった。今日、最初のふるい落としの為の試験がある。

私はここでもできるだけ長生きして、力を付けなければいけない。アリッサの人生を続ける為に。


朝食を食べて、練習場に出る。

この施設は初心者用の施設で、このふるい落としが終わると、それぞれ違う施設に送り込まれる。実力によって振り分け先が違う。

実力の高い者が集められる施設ほど訓練はきついけど、ちょっとした怪我で死ぬ事は少ない。だって、大切にされるから。

弱い施設では怪我をしても治療して貰えない。破傷風で死んじゃった仲間もいた。私も崖から飛び降りる訓練中にしくじって頭から落ちて死んだ。


まずは上位の施設を目指そう。大丈夫。私には過去の訓練がそのまま体に記憶として残っている。メリッサの体はまだ鍛え方が足りないけど、何とかなると思う。


「次!」


私の番。試験官相手に戦って、その内容でこの先が決まる。初手で倒れたら、多分処分される。

1年の訓練結果がちゃんと出せれば、まずそうはならない。

試験官は木の刀を持って襲ってくる。私は素手。

最初の一撃は左足を引き、少し体を傾ける事で躱す。続いて二番目、三番目の攻撃が続けざまに襲ってくる。

踊るように足を動かし、一時も止まらないようにして、直ぐに対応できるようにしながら、試験官の次の一手を予想する。攻撃を繰り出す時の筋肉の動き、目の動き。

(見えた!)

私は大胆に試験官に一歩近づき、相手の体が崩れたところで、背後に周り地面に手をついて、両足で試験官を蹴り倒す。


「そこまで!」


終わった。係官のような男に連れられて馬車に乗る。

上位に振り分けられる程、馬車に乗る人数は少なくなる。馬車が動き始めたけど、乗っているのは私だけ。

多分、一番上に振り分けられたんだ。初めて。


馬車は暫く走って施設に着いた。

(げっ!何これ!)


着いた施設はまるで牢獄のような所だった。

前の施設の方がましだった。外れだよね。足を踏み入れるのにも躊躇っちゃう。

ゴクッと息を飲む。でも私はここで頑張らなきゃいけない。


案内されるままに自分の部屋に行く。

ここでもびっくり。窓に鉄格子がはまってる!その上、入口のドアは外から鍵がかかるようになってる!

何なの?この施設。怖いよぉ!


案内してくれた人が呼びに来た。


「ついて来なさい。」

「はい。」


その人について、建物の中を案内された。どこも厳重な作りで驚いていると、私の視線を感じたんだろうか、教えてくれた。

「逃亡できない作りになっている。逃亡しようとは考えるな。」

(逃亡?そんなに過酷なの?私、今まで逃亡しようと思った事無かったですけど!ここって特別?)

「以前、逃亡しようとして殺された者がいた。貴重な人材だからあまり殺したくは無い。」

(はい?逃亡、即、死亡ですか?怖すぎでしょ!)


もう少し、手を抜くんだった。もう手遅れだけど。


そして、訓練の日々が始まった。



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