2.また転生へ
お母さんからパンの入ったカゴを受け取り、配達先の商店に向かって大通りを歩いていた。
ちなみに歩く道を変えた事もあるけど、それも無駄だったから、普通の道を歩いてる。
明け方の雨で道がぬかるんで歩きにくい。このぬかるみが1つめの原因。
後ろから馬車が走ってくる音がする。
来た。1の難所。
走ってきた馬車の前に突然横の店の商品が転がり、慌てた御者が馬車を停めようとするけど、ぬかるみに車輪を取られ、大きく傾いて、私の方に突っ込んできた。
最初は慌てて逃げようとして、私もぬかるみに足を取られ、転んで逃げ損なったけど、今は大丈夫。軽く地面を蹴って、馬車にぶつからない所迄飛んでよけ、さらに倒れてくる馬車を避けて、もう一度体の位置を変える。
はい、終了。
「お嬢ちゃん、怪我はないか?」
馬車のおじさんが慌てて降りてきて心配してくれた。
「大丈夫です。」
にっこり笑う私に御者のおじさんも、お店の店員さんも謝ってくれた。持っていたパンのカゴの中身も無事。
私は二人に手を振って次に向かった。
さて、次はゴロツキだ。これは結構近い。
配達先に行くには絶対に通らなければならない場所。
歩いていると、いきなり後ろから腕を掴まれて、細い脇町に引きずり込まれる。来た、2つ目。
ニヤニヤしながら私を囲んでくるゴロツキ三人。
「お嬢ちゃん、俺たちと遊んでくれよ。」
「嫌です!」
ゴロツキがナイフを取り出す。死んだ時はこのナイフから逃げようとして刺されて死んだ。
死なない為には逃げずに倒さないと。私は右手の手刀でナイフを叩き落とすと、右脚の回し蹴りを右手に立つ男の頭に命中させる。続けて左に立つ男の胸を蹴り飛ばし、正面に立つ男のみぞおちに右肘を打ち込んだ。
よし!
カゴのパンを確認した。前回はここで1個パンを落としちゃったけど、まだ1個も落としてない。良かった。
私は商店に向かった。
商店について、パンを渡す。その時、急に店の入り口に人の気配がした。3つ目が来た。
振り返ると貴族が刀を振り下ろす所だった。私は向かい側にいた店員さんを軽く押して下がらせ、体を回転させると、貴族に向き直った。
前の時には気づかなかったけど、この人おかしい。目が血走っていて、正気がないみたい。最近噂の麻薬かも。
刀の下から抜け出した私目掛けて、次の攻撃が来る!
半身になって身を躱し、貴族の首の後ろをついた。
よし、やった!!
その瞬間、首に痛みがきた。首筋が熱い。なんで?何があったの?
私は首筋に手をあてる。首筋から血が溢れてる。
後ろから来た人が何か言いながら体を支えてくれたけど、私の意識はゆっくりと消えていった。
あぁ、また終わっちゃったんだ。