1.アリッサのループ事情
お読み頂きありがとうございます。
今日は7月18日。
やはり私はこの日にループしてしまった。なんでもう少し後にならないかなっ!て思うけど、それは無理らしい。
さぁ、今回も全力で行きます!グッと握りこぶしを作って気合いを入れた。
私、アリッサはパン屋の娘、17才だ。こんな一般市民の私がなんでこんな目に合ってるのか分からないけど、私は今までに3回ループしている。
そして、私は過去3回、7月19日に死んだ。
理由は色々。1回目は馬車に轢かれて。2回目はゴロツキに刺されて、3回目は貴族に斬られて。
死ぬのは運命だし、しょうが無いよねって思ってる。でも何度もループして殺されるのは嫌!布団の上で死にたい。
それに、ループにはもれなく嫌ァ〜なおまけがついているし。
私は死ぬと何故か転生して、修行させられるのだ。そう、あれは絶対に修行!そしてある日突然その世界から吹っ飛ばされて、またここにループする。
私何か悪い事しましたぁ?してないですよね!
1回目に死んだ後、修行の成果で私は馬車に轢かれず生き延び、ゴロツキに殺された。
2回目は馬車もかわし、ゴロツキも倒して貴族に斬られ、段々死に方もレベルアップしてる。
私も修行でレベルアップしてるけど、次はどうやって死ぬのか考えると正直なところ、憂鬱だ。
今回も貴族をかわしたら次は何が来るんだろう。貴族の上って何?
それでも、明日一日かわしきれば、生き延びられるかもしれないと思うと気合いが入る。
私はもう一度気合いを入れ直して、布団に入った。
翌朝、いつものように目が覚めた。勝負の日がやって来た。
ちょっと癖のある髪を纏めて三つ編みにし、お気に入りのリボンを結ぶ。引き出しから真っ白なエプロンを取り出して服の上からつければ出来上がり。
私は二階の自分の部屋から降りていって、お母さんが準備してくれた豆のスープと焼きたてのパンを食べる。
お父さんのパンは美味しい。一口齧ると小麦のいい匂いがして、幸せな気分になる。
食べ終わった食器を洗って片付けていると、お母さんから配達を頼まれた。そう、ついに始まるんだ。
「じゃあ、アリッサお願いね。」
「はぁーい。」
私は、配達に行かなきゃいいじゃないと思って、2回目の時は配達をぐずって嫌がった。泣いて嫌がるのでお母さんが仕方なく配達に行こうとして、家を出たところで転んで怪我をしてしまい、結局私が配達に行った。
そして死んでしまった。
私の運命は変わらない。だったらお母さんに怪我をして欲しくない。
だから、私は死ぬ事を避ける以外は運命に逆らうのは止めようと決めた。私のこの変な運命に他の人を巻き込んじゃいけないと思う。
私は覚悟を決めて家から一歩踏み出した。