表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
記憶を失った修道女と地下室の少年  作者: Sy
槍の王 第1部
3/22

第3章 教会の地下に棲む孤児

物心がついた頃、その少年に名前はなかった。


ただ生まれてからずっとその少年につきまとう忌まわしい噂があった。


その少年は生まれた時、ある言葉を発したというのだ。そして母親を含む家族や助産婦たちが行方不明になったり死亡している。


生まれた時からその少年は呪われていると信じられてきた。


父親は分からず、母親は失踪。そして少年は教会に併設されていた孤児院で育てられることとなった。周りの孤児たちは彼を疎み、そして町の子供たちは彼に石をぶつけた。


その少年が6歳になる頃、他の孤児たちはもう誰もいなかった。


ある人は他の子供たちは全て里子に出されたと言い、また多くはその少年以外はみんな死んでしまったのだと噂した。そして、もしあの子供たちが死んでしまったのなら町の子供たちは安全なのだろうかと不安がる人々が増え始めた。


あの呪われた子はたった1人残されたのか?生かしておいて良いのか?


噂は少しづつ過激なものとなりつつあった。


だがその少年もやがて町から消えてしまった。


それからその町の人々は教会の孤児院は閉鎖されたのだと思った。もう孤児達はいないのだと。あの呪われた少年さえ、いなくなってしまったのだと。


だがそれは、町の人々にこれ以上悪い噂が流れるのを恐れた教会が、その少年を教会の外に出さないことを決めただけだった。


教会の地下の一番深くにある小さな部屋に、彼を閉じ込めてしまったのだ。


姿を見せなければ、噂も無くなるだろうと最初の神父は考えたのだ。


その事実は教会にとっての秘密となった。


それから6年。少年は12歳になっていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ