第53話 男の子はかっこいい、女の子は可愛いが好きこれが定石。
お待たせいたしました。
孔雀を見るという一つのサブクエストを終えた私たちは、最初の目的地であるゾウがいるエリアにようやく辿り着いた。
寄り道は多々あったが、動物一つ一つに10分、20分掛けているわけではないので、またまだ楽しめる時間が沢山ある。
「なんかゾウを見てるとスケッチしたの思い出すわ」
「あー、好きな動物描いてくるって課題ね」
「男子は大抵ライオンとかチーターが多くて」
「女子はうさぎとかコアラの可愛い系が多かったよねー」
「あと小さい系とかね」
「確かに」
やっぱり小さい頃の男子はカッコよくて強いのが好きで、女子は可愛いくて愛嬌があるものが好き。これはどの年代もそんな変わらない。だってカッケェヤツはカッケェし、可愛いやつは可愛いもん。
今でもドラゴンとかカッコいいって思うもん。今は女子だけど……。
そんな私は今可愛い方がいいのか、かっこいい方がいいのか。
うーん。
首を傾げて少しの間考えてみる。
流石にうさぎよりかはライオンとかの方が見たいかぁ。
可愛いことにも少し耐性できてありかもとは思うけど。でも今裁縫セットでドラゴンのものを買うかと言われたら絶対買わないなぁ。
そんなことを考えながらゆっくりゾウエリアを歩いていく。勿論写真撮影は忘れない。
「そういえばなんで小さい頃エルちゃんはゾウが一番好きだったの?」
「それが分からないんだよね」
「そんなことある?」
「いや、今ゾウ見たらさ、鼻長いーとか、とか耳でかーとか糞デカすぎーとかまあ感想色々あるけど、別に一番好きって感じじゃないんだよな。まあ、どちらかといえば好きだけどさ」
「エルのことだからあれじゃない?」
「あれとは?」
「みんなが好きだから俺違うものがいいし、そっちの方がカッケェって思ってたんじゃない?」
「うわぁ、確かに」
「えーくん今でも流行に乗るのカッコ悪いって思うタイプだもんね」
「ぐっ、悪いかよー!」
「そんなだからいつも流行から乗り遅れるのよ。この前だって何年も前に流行ったダンス踊ってーーーー」
「あーーー!もうダメー!!次行こ次!ね、ほらお姉ちゃんたち!」
「あーもう、わかったから押さないでちょうだい」
勢いそのままゾウエリアからはすんなり出ることができ、何とかこれ以上の辱めを晒すことは無くなった。が。
未玖のヤロウ、絶対俺の部屋でダンスしてたの覗いてやがったなぁ。
手に力を入れ殴りたい気持ちをグッと抑え込む。
「胸の中にー」
姉さんがそうやって歌い出す。何で知ってーーーってその顔は………
「お前もかー!!」
「ぎぁあーー!!えーくんに襲われるぅーーー!!」
俺は逃げ始めた二人を全力で追いかけた。記憶の消し方を考えながら。
お下がりでドラゴンの裁縫セットを使わされたことは絶対忘れない。




