第48話 魔法と呼ばれるもの。
久しぶりの投稿です。宜しくお願いします。
「……はっ、カメラマン早く!」
「は、はい!」
カシャッ。とシャッター音が何回も繰り返される。俺はそれすら気づかずにこの美しく不自然な現象を眺めていた。
しかしそれからものの数秒でこの不思議な現象は終わりを迎えた。
「カメラマン、どうだった?」
「何とか抑えました。確認お願いします」
「どれどれ……うん、上出来ね。それにしても今の現象はなんだったの……。あとで色々調べなきゃいけないかもしれないわ。エルもそこの御三方も片付けて撤収するわよ」
「「は、はい!」」
見学していた三人も途中から花びらを散らすことをやめ眺めてしまっていたが、その声と共に俺と同じくしてようやく我に返り、散らばった花びらを箒で掃きはじめた。
俺も今さっき起きた化学では証明できない事象を何だったのか頭に思い浮かべながら衣装部屋へと戻った。
「姫咲さんお疲れ様でした!」
「はい、お疲れ様」
「最後見学ありがとうございました」
「ええ、タメになったのなら良かったけど、最後の件についてはよく分からないから内密にね」
「はい、分かりました」
此処での姫咲は姉の未玖の方である。俺は既に挨拶を貰っていたので、先に車の方へ戻ることにした。
「あのっ、姫咲さん」
加藤さんの声がする。恐らく未玖と挨拶をしているのだろう。
「エルちゃんっ!」
普段の加藤さんではありえないような声量に驚いて思わず躊躇いながら振り返った。
「な、何かな加藤さん?」
「あ、あの……」
もじもじしながら俺の顔をチラチラ覗ってくる。そして話す勇気が出たのか、俺のめをじーっと見て言った。
「また今度学校で会おうね」
「えっ?うんまた学校で……」
そう言って走って去ってしまった。それと入れ違いに未玖が車まで戻ってきた。
「今すれ違ったけど加藤さんだっけ、何話してたの?」
「また学校でだって」
「へぇー、健気でいい子ね」
「まあ、確かに。偶に自分の我が強くなる時があるけどね」
「それも個性よ」
「まあ、そう言われたらそうなんだけどさ」
車に乗り込んでシートベルトを付ける。少し胸の主張が強くなるから好きではないが法律で決まっているしな。
「今日のあれ、直球に聞くけど魔法?」
「いや、俺にもさっぱり。でも……」
「でも?」
「俺がどんどん普通の人間ではなくなってきているのは確かなのかもな」
「それは嬉しいことなの?それとも嫌なことなの?」
「別に、こうなった時から普通の人間であることは諦めてたから。どっちでもなくて……少し悲しいかな」
「私は最後までそばにいるから安心して」
「本のエルフみたいに何百年何千年生きたらどうするんだよ」
「お化けになってエルに取り憑くなんてどう?結構名案なんだけど」
「何処がだよっ!俺からだとみえないから俺だけ寂しいじゃねーか」
「あら、エルちゃん私がそばにいないと悲しいんだ」
「うおー、何でそうなるんだよー!」
少し意地悪されたので、帰り道の車内では無視してやった。
久しぶりに焼肉に行きたいなと思い、焼肉屋に行ったところ、家族連れや複数で来ている人が多くて自分だけ浮いておりました……(肉は美味しかったです」




