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幾ばくかの時が経って。


やっほ。クオ君だ。

少し時が経って、三歳になりました。おっきくなったぞ。


身長は158cmで45kg。鬼の子って早熟ならしい。僕はエルフとのハーフだから、生粋の鬼の子よりは成長してないみたいだけど。

その分、魔法の適正は大きいし、美形なんだって。

うん。ハーフの方がいいね!

あと、ステータスも成長して、Bランク級冒険者くらいにはなった。


それでもお父さんとお母さんには遠く及ばないし、この世界で言ってもそこまで強くない。

不測の事態が起きても、生き延びれるようにならなくては。

なんせ主人公補正Sですからね.....。

いやマジでいらないんですけど。




<><><><><><><>


「クオ!そっちいったわ!」


「りょーかい!」


今は夕飯の材料を狩っている最中だ。獲物は猪。

なんでもお家にお客さんが来るらしく、お母さんがめちゃくちゃ張り切ってる。


お母さんが追い込んだ猪が、僕の方へ突進してくる。

子供の僕のことを、全く脅威と見なしていないようで、フルスピードで突っ込んできた。

おお、すごい迫力。なんて思いながら、抜刀。

猪と衝突する寸前に横に回避し、すれ違いざまに一閃。

「ふっ...」

ヒュンと、刀に付いた血を凪いで、鞘に収める。

カチ、と収まり切ったところで、突進したままの猪の首がズレ、地に落ちた。


「ひゅぅ!ナイスよクオ!さ!とっとと血抜きを済ましちゃいましょ!」


「ん。わかった。」


腰からロープを取り出し、猪の後ろ足に巻きつけ、綺麗に切れた首を下にして、木に吊るす。早めに血抜きをしとかないと、肉が臭くて食べれたもんじゃなくなってしまうのだ。

そんなこんなで、血抜きが終わった猪をお家まで持って帰る。


解体はしないのかって?それはお父さんが魔法でちゃっちゃとやっちゃうんだ。その方が美味しいからね。


<><><><><><><>


「ただいまー!」


玄関を開くと、ふわりといい匂いが漂ってくるのと同時におとうさんがひょこっと出てきた。


「おかえりクオ。あれ?ルーちゃんは?」


「倉庫に猪置きに行ったよー。おとうさん呼びに行

ってって言われた。」


「お、猪狩ってきたのか!じゃあ今日は猪肉のビーフシチューにしよっか!」


やた!!お父さんのビーフシチューすっっっごい美味しいんだよね!猪なのにホロホロになるまで煮込んだお肉と隠し味のハチミツがもう...最高!!


「ほんと!?やった!!」


「ふふ。あ、そうだ、今日はお客さんがもう少ししたら来るからお風呂はいっておいで。」


「わかった!」


僕はダッシュでお風呂に向かった。なんでかって?早く上がんないとおかあさんが入ってくるんだよ...!?


精神年齢21歳には少しキツイ...キツくない??

<><><><><><><>


お風呂場は、ヒノキで作られた広めの和風のお風呂で、だいたい大人3人くらい入れる浴槽と、木でも鉄でもない謎素材のシャワーがある。


ヒノキのいい香りに包まれながら、ぬるめのお湯で体の汚れを落としていく。

壁の棚に置いてある小瓶からシャンプーを取り、手で泡だてて、背中まで伸びた黒髪を手で梳きながら洗っていく。

花の蜜がブレンドされた、おとうさん特性のシャンプーのいい匂いが花をくすぐった。


「ふんふふーん♩」


洗い終わった髪を持ってきたゴムでまとめて、サクッと体を洗った。

とぷっ、と足先からお湯に入っていく。

熱めのお湯に、少し痺れながら肩まで浸かると、力が抜けていって、ぎゅーってなる。

この感覚が子供の頃から好きで、日本にいた時も、1日2回はお風呂に入ってた。


少し、気まぐれにステータスを開いて、いつ見ても消えない《主人公補正S》の文字を眺めた。

ストーリーに関わる事は確か。だけど全く記憶になくて、それが怖い。

今の暮らしに文句なんて無くて、むしろ日本にいた時より圧倒的に幸せな暮らしで、いつこの幸せが崩れるのか、僕がどうストーリーに巻き込まれて行くのかが怖かった。


「ほんとに、なんで記憶ないんだよ...意味ないじゃんか...」


一人で入るには少し広過ぎる空間に、僕の声が響いた。


<><><><><><><>


「あ、着替え持ってくんの忘れた...」


あるのはいつも引き出しに入ってる下着だけで、自室に置いてある、上着やズボンとかはなかった。

ま、いっか。部屋戻れば良いし。

その前に。


「《乾燥(ドライ)》」


生活魔法と呼ばれるものを使って、髪の水気を少しだけ飛ばす。

毎日、剣術と魔法の修行を2年間続ければ、こんな事は余裕に出来るようになった。

今のステータスはこんな感じだ。


ーーステータスーー


・名前 クオ・シャロン

・種族 鬼、エルフとのハーフ《神祖》

・職業 無職


・体力 2500/2500

・魔力 8000/8000

・攻撃力 500

・防御力 420

・素早さ 300

・魅力 1280


スキル

・異世界言語〔地球,アルヴァンの全言語理解〕

・百鬼夜行〔百体まで眷属化・眷属召喚・眷属強化〕

・鑑定〔あらゆるものを調べる事が可能〕

・雷支配〔風,水属性の熟練度100・雷属性支配〕

・黄金律《肉体・顔》〔魅力二倍・不老・再生〕

・天才の種〔3つまで天才系スキル獲得可能〕

・魔の天才〔魔系統使用時ステータス三倍〕

・剣の天才〔剣系統使用時ステータス三倍〕

・主人公補正S〔成長度補正2倍〕


汎用スキル

・身体強化Lv7/10

・刀術Lv9/10

・居合術Lv8/10

・魔法剣Lv6/10

・魔操Lv7/10

・体術Lv8/10


魔法熟練度

〈基本〉

・火 25/100

・水 100/100

・風 100/100

・土 30/100

・生活 75/100

〈特殊〉

・光 0/0

・闇 69/100

〈複合〉

・雷 ∞


________________________



ざっとこんなものかな。

表記が変わったのは鑑定スキルのせいで、スキルの横の括弧も鑑定スキルで追加されたもので、色々とやばいことが書いてあるけど、括弧の中のまんまの効果だから触れないでおく。てか触れたくない。


ただ、これだけステータスが成長していても両親には勝てないし、ゲームに出てきた『勇者』には遠く及ばないのが現状だ。

それにスキルレベルに関しても頭打ちになりつつある。

これに関しては、経験の差とジョブシステムが関係しているが、それもまた今度。

とりあえず今は服を取りに行かなくちゃいけないからね。


<><><><><><><>


少し水気の残る髪を、タオルで拭きながらドアを開ける。

年中春のこの里はいつも涼しく、風呂上がりの火照った体に気持ちよかった。裸族の気持ちもわかる。

...冗談。わからないほうがいいよね。


トントンと二階にある僕の部屋へと向かう。

桃のような香りがした気がして、少し不思議に思ったけど、デザートかなと思ってあまり気にはしなかった。


がちゃりとドアノブを回してはい……え?


「ひゃぁぁぁぁあ!!!」


そこには....女神がいた。

腰まで伸びた白銀のさらさらな長髪、長い睫毛、すらりとした細い体つき、そして女神の如き美しい顔。

そんな娘がぺたんと尻餅をつき、両手で顔を覆ってこちらを見ている。


僕はこの時、誰とも知らない美しい少女に一目惚れをした。




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