プロローグ
これからよろしくね。
あったかい。
泥に浸かったように重い思考から、覚醒した僕が最初に感じたことは、心からぽかぽかする暖かさだった。
場所は、わからない。ついさっきまで信号待ちをしていたはずなのに。
目は開かない、力も入らない。地に足を付いている感覚もない...本当にどこなんだ?
いったいここは――――ドクッ!
なんだ、これは。体が締め付けられて前に進んでいく、圧迫され、押し進められる。そして、光が見えてきて...外へでた。
息が出来なかった。いや、呼吸の仕方が何故かわからない。なんで、どうして。
背中に衝撃が走って、なにかを吐き出した。
一気に空気が流れてくる。うまい。それだけを感じて、僕は叫んだ。
「おぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ」って。
***
自分が転生した事実に気がついたのは、生まれてから3日ほど経った時だった。
それまでは現実を見てなかったというか...まぁ、うん、そんな事はどうでもいいんだ。
そんなことよりも...
「クオちゃん〜、ごはんですよ〜」
そう、これだ。思春期真っ只中の、僕のご飯がコレだ。おっぱいだ。
正直言おう。虚しい、悲しすぎる。目はまだ開かないから良くわからないのが、不幸中の幸いだが、ただただ虚しい。てか恥ずかしい。
でもしょうがないかぁ...いただきます...
***
目が見えるようになった。ああ、楽観視していたさ。言葉がわかるから現代日本に転生したのかと思ったのに...現実がコレか。
「クオちゃん、ごはんですよ〜」
多分お母さんだと思う人?の髪の色はまぁ、黒だ。うん、普通。
顔?めっちゃ美人。ちなみに高校生ぐらい。ボブカットのめっちゃ可愛い子。マジタイプ。
でもね?おでこからさ...にょきっと生えてるんですわ、え?なにがって?角だよ角。肌色の細めの角!
ビビるわマジで。現代日本に生まれて、これからウハウハの天才人生のはずだったのに!なんでだよ!僕が何かしたか?おい転生神とかいるんだろ!?少しは説明ぐらいしやがれぇーーーー!!!