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不老不死者の隠遁生活  作者: 多田貢
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隠遁生活の終わり【End of hiding】

記念すべき第一話!

縦軸(次話)はあまりかけてないのに横軸(他の作品)が出来てしまうという悲しい悲しいことになっていますが、次話が書けるように頑張っていきたいです。

 もうどれくらいの月日がたったのだろうか。これまでしてきたことをすべて思い出せないほどであることは確かである。しかし、先はまだ長い。なぜなら、私は死ぬことができないのだから・・・


 私の今の「本名」は夏目宗一(なつめそういち)と言う。

 私は一時期表の世界にいたが、不老不死者にとって表の世界は大体辛いものでしかない。何故なら、年をとらないのだから。しかし、上手く隠れることが出来れば誰にもばれることなく姿を消せる。私はこれまでそうしてきたのだ。ある時は陰陽師として妖怪と闘い、またある時は平家を壇ノ浦で滅ぼした。他にもまだあるが、言ってもきりがない。それぐらい長い年月が過ぎてしまったのだ。今の日本は京の都や鎌倉、江戸、帝都ではなく東京だ。しかし、長く生きていると良いこともある。経験などによって流れを読むことができるようになった。それは、色々と都合が良かった。今ではいらない程あるため、色々な事をすることで暇を潰している。まぁ、今はとある太平洋の島でのんびりと過ごしている。


 ************************


『ある国の日記』


 西暦2066年11月7日ある国が戦争を起こした。その国は、元から地球温暖化による食料不足などを訴えていたが、とうとう限界が来てしまったために戦争起こした。その国はすぐに負けると誰もが思っていたが、実際はそう上手く行かなかった。


他の国も同じような状況に陥っていたため、連合国は抑えつけるのに精一杯になっていた。そのため、戦争が終わらず戦域が拡大していった。まさにその戦いは、連合国(強者)小国(弱者)の戦いであった。


それは、世界を巻き込む大戦争になった。


これはのちに第三次世界大戦と呼ばれるものである。この戦いはこのまま泥沼化していくだろうと思われた時、突然終わりを告げた。何故か分からないが、急に食料不足などを訴えていた小国側が、一方的に戦争を止めると言い出したのである。それを聞いた連合国側はその言葉を疑った。つい先日までその事で戦っていたのに急に止めると言い出されては、誰も疑わずにはいられないだろう。


しかし、実際は本当に戦争を止めてしまった。そうなってしまえば、連合国側には大義名分が失われ撤退するしかない。しかし、それまでに繰り広げられ戦いで連合国側は多大な損害を出してしまった。世界有数の工業地帯は破壊され、大都市圏も空爆を受け廃墟のようになってしまっていた。これでは、どちらもこれからが厳しくなるだろうと思っていたが、戦争を止めると言った小国側は、戦争がまるで嘘のように盛り上がっていた。これではどちらが戦争で勝ったのかが分からない。しかし、あれだけの物資はどこから来たのだろうか。到底小国では無理だろう。この戦争の裏に何かが動いていたのだろうか・・・


 西暦2073年4月25日

 あの戦争から一カ月程経った頃、一隻の民間船が沖から私の島に流れついて来た。

 見るとその船は穴だらけであった。銃で撃たれたのだろう。


 しかし、まだ浮いていたことから浸水はあまりしていないのだろう。

 一応中を覗いてみようとその船に乗り込み、船内を見て行くと多くの死体があった。

 ここに来るまでに食料が尽きてしまったのだろうと、推察していると物音がした。


 そちらの方へ進んでいくと、そこには調理室と書いてあった。そこを覗くと3人がまだ生きていた。

 3人とも痩せ細っているが、15、6歳の日本人の女の子であった。大人達が守ったのだろう。

 しかし、彼女らは警戒していた。何故なら、私が軍服を着ていたのだから当たり前である。

 しかし、私の顔を見て同じ日本人だと思った一人の女の子が、「助けて下さい!」と言って来た。

 私は悩んだがこう言った。


「助ける前に君達がどこの誰か言えるか?」


 と言うと、一番痩せ細っている女の子が最初に話した。


「はっ!はい!私は日本海軍所属の海原香澄(かいばらかすみ)二等兵で有ります!」


 次と言うように隣の子に目を向けると、その子はビクッと反応してかすれる声で言った。


「わ、私は泉谷千智(いずみやちさと)とい、言います」


 言い終わったところで最後の一人に目を向ける。

 しかし、彼女は何も言わない。

 少し困っていると海兵の海原が、話し掛けてきた。


「その子は人見知りで親しい人以外あまり喋らないので、私が話します」


「この子は西園寺静香(さいおんじしずか)と言います」


「で、これで良いですか?」


「ああ、今はこれで良い。日本人と判っただけでも良かった。


「では、ついて来れるかな?」


「外に食料を用意してあるから。あと、まだ誰かいるかな?」


「は、はい!私達以外居ません・・・」


 そうして、来た道を戻っていると、先程の死体達に会った。気になったので聞くことにした。


「この人達はどういう人達?」


「えーと、この人達は私と同じ海軍です」


「途中で外国船にやられてしまって・・・漂流していました」


「災難だったな」


 話していると外に出た。

 はしごを下り浜辺に設置したテントに入った。


「どこですかここは?」


「私の島だ」


「まぁ、気にせず食べろ」


「あとで聞きたいことが有ります」


「分かった。後で浜辺に来い」


 私はため息をついた。久しぶりに外界の人に出会ったはいいが、疲れてしまう。


 そうして、食べ終わった後海原が私のところに来た。


「それでここはどこですか?」


「太平洋に浮かぶ私の島だけど?」


「え!太平洋の島!」


「ああ、そうだ」


「随分流されましたね私達」


「あと、この島が貴方の島ということはお金持ちか何かですか?それと、どこに所属していますか?」


「私はどこにも所属していないよ。お金はあるが」


「では、その軍服は何ですか?」


「つい癖で着替えてしまったのだよ」


「ということは元軍人ですか?」


「ああ、そうとも言えるかな」


「あと、ここがどこか分からないはずだ」


「何故ですか?」


「何故って、地図に載っていないからだよ」


「っ!」


「ここを知っているのは、限られた人のみ。

 出ることは出来るが目隠しなどをしなければならない。日本政府に頼むとしよう」


 それを聞いた彼女は恐る恐る言った。


「に、日本は・・侵略されつつあります」

 

「・・・だから、無理だと思います・・・」


 海原は落ち込むように下を向く。


「それは直接聞いてみることにする」


 この言葉を聞いて海原は顔を上げる。


「私だが首相はいるかな?」


『は、はい!私です!今回はどのようなご用件で!』


「大した事ではない。君の国から人が流れて来た。

 だから、拾ってほしいだけだよ」


『そうしたいのは山々ですが、今は難しいかと・・』


「貴国が侵略されつつあるからかな?」


『こ、これはお耳が早いことで』


 『はい、今日本は侵略されつつあり、難しい状況であります。なので、申し訳ありませんが、力を貸して頂けませんか?』


「私にとっても祖国?であるし、協力してやろう」


『あ、ありがとうございます!』


「海上封鎖でもすれば良いかな?それとも・・・」


『きょ!協力してもらえるのは嬉しいですが!間違ってもこちら側に当てたり、ややこしくしないでくださいね』


「分かった。肝に命じておこう」


『では、ご武運を』


「そちらこそ」


 そして電話は切れた。

 しかし、そこに唖然としている者がいた。

 そう、海原である。


「なっ!何ですか今の会話は!総理と知り合いなのですか!」


「まぁ、ちょっとした知り合いかな。

 それと海原達は私が送ることになった」


「どうやって送るんですか!何もないですよ!」


「まぁ、見てろ」


 そう言うと、海面に潜水艦が現れた。

 そこに西園寺と泉谷が合流した。

 帰りが遅いため見に来たのだろう。

 しかし、急に現れた潜水艦を見て驚いている。


「さぁ、出航だ。海原達も乗れ」


「い、一体どこに隠していたんですか!」


「秘密だ。それより早く乗れ」


「分かりましたけど、あとで色々とお話したいですね〜」


 私は無視して中に入った。

 そして、全員入ったことを確認してハッチを閉じ、こう言った。


「進路ヒトヒトマル、これより出航する」


「目的地は・・日本だ!」


 この空の静けさは、嵐の前の静けさのようであった。これから始まるのは、歴史に残る戦いであった。

是非、読んだ感想をよろしくお願いしますm(_ _)m

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