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そのうちの1例は、1 9 60年に、オーストラリアの医学雑誌に掲載された症例で、未婚で妊娠した16歳の自分の娘に腹を立てた母親が、そのまま出産すれば、その子は『手足のない、目の見えない』状態で生まれてくる、と娘に『呪い』の言葉を繰り返し繰り返し発したところ、生まれてきた子供は、盲目ではなかったものの、両足は完全に欠落、右腕は上腕部の半分しか付いていなかった、という。
この事例について報告者は、通常の原因は見つからなかったとしているが、それが事実なら、それは生まれてくる子供の意志によるものではなく、母親か祖母の『意志』か『念力』による可能性が考えられるとする。
動機さえあれば、生まれてくる人物が、自らの意志によって、前世時代の傷痕やアザを持ち越す事は不可能ではない、と。
しかし、のり子は思う。たとえば、この娘に対して、母親ないし祖母が、食事を与えず、肉体的や精神的な苛めを繰り返していたならば、奇形児が生まれてきても当然だろう、と。単なる『呪い』と結び付けるのは、少し安易過ぎないのではないか、と。




