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記憶の内容では、幸福だった前世を記憶している子供が殆どいないこと。記憶は、7歳くらいまでの子供しか覚えていないこと。非業の死を遂げている場合、人生に悔いを残し、死にまつわる記憶が鮮明であること。
しかし、未だ解明されていないことも事実だ。
マスターは言った。
『それは、現実と妄想の狭間の夢なのかな…』と。
のり子は、俯き笑う…。
『そうかも知れませんね。だけど、私の場合、夢が限定されているんです。場所と時間はハッキリしませんが、確かにあの場所は、お城のようでした。要塞のような…。だけど、もう過去に縛られるのは嫌なんです。もう思い出したくはないんです』
のり子は両手で両耳をふさいだ。
『多分、誰にも分かって貰えない。幻想なら、幻想でいいんです。その方がいいんです。素敵な前世なら、その方が良かったんです…』
のり子は言葉を詰まらせ、その後、何も話せなくなってしまった。




