9/20
第九話 vs西国 前編
残り1時間30分
準備も着々と進んでいる。
「あ、それはもう少し奥に。」
誰も失わない、みんなの気持ちを裏切らない、絶対に傷つかない、傷つかせない。
そして、決戦の時間に。
「国王、西国兵の姿が見えました。だいたい400m先かと。」
「ん、それじゃあ第1部隊と第2部隊は配置について。第3,4部隊は援護に回って。第5,6部隊は俺についてきて。」
相手の情報が全くない。
だから、相手がどんな行動をするか、それは本番で対処するしかないんだ。
「衝突まで、あと100m。」
「第1,2部隊、砲撃用意。」
俺の合図で第1,2部隊のみんなが構える。
「3、2、1、構え、撃て。」
放った大砲の球が敵兵めがけて一直線に飛んでいく。
俺たちの城の壁をすり抜けて。
響き渡る爆音。
微かながら悲鳴も聞こえる。
どうやら命中のようだ。
ここからは一切気を抜けない。
全員が肉弾戦を持ち込むことになるからだ。
リット君の作戦、それは「全員平等に傷つく作戦」だったのだ。