第六話 気持ち
「やーっと目が覚めましたか、国王。」
目が覚めるとそこは俺がこの世界で初めて目が覚めたときと同じ様子だった。
体の節々が痛い。
「あー、とりあえずおはよう。それと・・・ごめ・・んなさ・・い。」
「本当に困った国王ですわ。私たち部下を生かすために自らを傷つけになるなんて。そんなこと、だれも望んでいません。」
もはやどっちが上かなんてわからない。
はたから見れば叱られてしゅんとうなだれている子供にしか見えないだろう。
「そのことに関しては謝るよ。ただ、誰も傷つけないようにするにはあの方法しか・・・」
「本当に誰も傷つけたくないのならどうしてその誰もの中にご自身を含まないのですか!あなたが、私たちが傷つく姿を見たくないのと同じように、私たちもあなたが傷つく姿など見たいはずがありません。」
ここまで言いたい放題言われてしまってはこっちも黙っているわけにはいかない。
「俺は国王なんだぞ。部下を守るのが俺の役目だろ。それともなんだ、上からテキトーな指示を出すそんな国王のほうがいいのか?そんなわけないよな!俺だっていやだよ。だからお前らを守るために身も心も傷つけてるんだろ。俺はそんでいいんだよ。」
「嘘をつかないでください。本心はそう思ってないくせに。傷つくのが本当は怖いくせに。かっこつけて強がらないでください。傷つきたい人間なんていません。」
「勝手な妄想はやめろよ。お前は俺の何を知っているんだよ」
「テレパシー」
驚きなどで表せるようなものではない。
限られた人にしか使えないはずの魔法をなんで使えるのか不思議でならなかった。
「そうですよね。テレパシーは一部の人間にしか使えない。そもそもテレパシーを使おうと思えばだれでも使えるんですよ。ただ使えるようになるまでの試練が長いだけ。それに、テレパシーが使えるからといって強いのかと聞かれるとそういうわけでもありません。」
「だからだよ。言いにくいけどお前らが弱いから、前に出たら傷つくから俺が庇ってやっているのに、何でそれがわからないかなぁ。」
半分失望していた。
ただ、この発言は最弱国という肩書から創造しただけである。
「そんなの・・・」
消えるような声で、しかし俺の心にはしっかり届いてきた。
そのあとまた声を荒げて
「そんなの、わかるわけないじゃないですか。確認したんですか?私たちに。あなたは先ほど言いましたよね、何がわかるんだって。そっくりそのままお返ししますよ。あなたこそ私たちの何を知っているんですか。」
泣きそうな声で言って、そのまま部屋を出て行った。
心の中がもやもやして、むずがゆい感情でいっぱいだった。