第二話 作戦準備
敵国到着まで残り3時間
「よし、準備にかかるぞ。時間が惜しい。とりあえず火薬をありったけ持ってきてくれ。」
一人の兵士が早足に部屋を出て行った。
「一人で大丈夫なのか?あまり時間を・・。」
そう言おうとしたとき目の前に300㎏はあるだろうか。大量の火薬が瞬時に出現した。
驚きのあまり声も出せず口をパクパクさせている俺に向かって使用人の一人が
「何を驚いているのですか?あなたなら空間移動術もそれ以外の魔法もすべて使えるではありませんか?」
初耳だった。自分が魔法を使えることも魔法がそもそも存在していたことも。
「なぁ俺ってどれくらい使えるんだ?てかどうやって使うんだ?」
「本当に何もかも忘れてしまったのですね。その様子だと私たちの名前も覚えてないのでは?」
図星だった。
「はぁ、まあいいでしょう。とりあえず魔法の種類と出し方をお教えします。」
すると突然使用人が目をつむりだした。
驚いたのはそのあと。俺の頭に大量の情報が流れてきた。ほんの数秒たったそれだけのはずなのにどっと疲労感がなだれ込んできた。ただそこから得られた利益も大きい。
「いける、いけるぞ。このままいけば1時間、いや30分で準備が整う。すぐさま準備に取り掛かるぞ。」
どうやらこの世界には空力、地力、陽力などといった力を使って魔法を使うらしい。
すべての国王はすべての魔法を使える。
それは俺もそうらしいが、どうやら実践を積まないと体内にあるリングが大きくならないらしい。
そのリングが一番小さいのが俺だとか。
魔法を使うと、体内のリングの輝きがなくなる。
その輝きの耐久力は大きさに比例している。
俺が使える魔法の回数は上級魔法を20回、下級魔法を組み合わせて30回くらい。
「それじゃあ作戦を伝える。まずは・・・。」
敵国到着まであと1時間30分
「すべての準備は整った。今まで勝ったことがないんだ。初勝利をみんなで祝おう。」
誰も皆初めから強いわけではない。
力のない者同士手を取り合えば、大きなものにだって十分太刀打ちできる。
あの日、俺の最も大切な人が死んだ日に教えてもらった言葉だった。