第十八話 アーサーの過去
「俺が子供のころもこの世界みたいに戦争があった。ただ、俺がいた国は物資も乏しく、十分な兵隊をそろえることができなかった。そこで王様はまだ成熟してない子供たちを戦場に行かせようと考えた。そこで入隊テストが行われ採用されたのが俺、ジークだった。ローランは生まれた時から特別な魔力を持っていて武力はないものの特例で採用された。別に国のことが嫌いなわけではなく、勝てば家族が裕福になると言われたから頑張ることができた。だが、問題はそのあとだった。」
何か深い理由があってこの世界を作ったのは感じた。
それでも憤りが消えたわけではない。
「他の国より物資が乏しい俺たちの国は個々の武力や魔力を高める必要があった。だから、兵士たちで戦闘訓練があった。だが、今まで気づかなかったのが不思議なくらいだ。俺の武力があまりにも高すぎた。ローランの真逆だ。だから、俺と戦闘訓練で組んだ兵士は圧倒的な力の差を目の当たりにして絶望、挫折してやめていくやつらが続出した。前線で戦えるのは俺とジークのみだった。俺のうわさが広まったのか新人すら入ってこなくなって国王は頭を抱えていたよ。それでも、国のため、家族のためと必死になって戦ったよ。そしてたった二人だけで戦争を終結させることに成功した。だが今度は国王が俺たちのあまりに大きすぎる力を恐れて俺たちとその家族を処刑すると言い出した。わかるか?今まで必死になって頑張ってきたのにその希望が途絶える絶望を。だから俺たちは国王の首を切った。すると国王に仕えていた補佐官が国内に火を放った。俺たちの家族はもちろん他の仲間たちもみんな死んだよ。怒りに任せて補佐官たちを全員殺した。だが、死んだみんなはもう帰ってこない。そこで俺は自分の理想の国を作れる剣、エクスカリバーと出会った。それでこの世界を作ったのさ。」
罪悪感を感じた。
あまりに大きすぎる力、それ故に周りから恐れられた。
みんながいなくなる絶望は俺も知った。
「あぁ、そういうことか。」
「ん?何がだい?」
「あんたがこの世界を作った理由さ。あんたの苦しみを知るものはあんたとジークとローランのみ。だからほかの奴にも知ってもらってあんたの国王に間接的に復讐しようということだな?」
一瞬ぽかんとしたアーサーが突然吹き出した。
「何がおかしいんだよ。」
「あぁごめんごめん。そこまで考えてなかったなぁ。別にこの苦しみや絶望を共有しようとしたわけではないよ。ただ、見たいのさ。俺と同じ状況に陥った者がどんな選択を、どのような世界を作るのかね。だから謝るよ。君が心に受けた傷がどんなものか知っているとはいえそれを負わせてしまったことはすまないとは思っている。」
「それはもう別にいいさ。今は希望が見えた。」
「そっか。それじゃあ理について説明する必要があるね。まず、理を使って作った世界に自分が存在することは最初からは無理だ。」
突然目の前が真っ暗になるような感覚を覚えた。




