第十二話 vs西国 後編
目の前の光景を誰も信じることができなかった。
なぜならみんなの目の前で国王が倒れているからだ。
全く動かない。
「ついに、ついに打ち取ったぞ。」
西国勢が大声をあげて喜んでいる。
しかし、誰も何も言えない。
そう思っていたが、
「違う!」
ただ一人、アイシャだけが叫んだ。
全員がアイシャのほうを見る。
「違う、絶対に。私たちの国王は絶対に死なない。あなたみたいな、あなたたちみたいな人には絶対にやられない。」
それを聞いた西国国王は不敵な笑みを浮かべて
「へ~そりゃすごい。でも実際目の前でやられているわけだ。君は彼を信じているわけではない。現実から目を背けているだけだ。哀れな女だ。お前ら、やっちまえ。」
その指示を聞いた西国の兵士たちが武器を構える。
そのまま突っ込んできた。
「それでも、国王は、絶対に・・・。」
ふと、アイシャの声が止まった。
理由は西国兵士が全員微動だにしなくなったからだ。
その原因ははっきりとわかった。
国王の体から出ている黒煙。
それが西国兵士の動きを止めているのだと。
「みんな、よく頑張ってくれた。後は任せろ。」
さっきまで聞いていたはずの、どこか少年っぽい声。
手元を見ると全く見覚えのない剣を握っていた。
「やっぱりそうこなくては。私も楽しめないからね。ところで、私の部下たちが全く動かなくなったのは何かわけが?」
「フィールドディスペル、世は我が思うままに。禁じられた魔法の一つ。」
世は我が思うままに。
対象フィールド内にいる人間すべてに効果を発揮する。
対象全員の意識のみを異空間に飛ばす。
永久に。
それを聞いた西国王が唇をかむ。
「だ、だが禁じられた魔法を使うことは誰にもできないはずだ。かの英雄が封じたはずだから。」
「悪いけど、その英雄から許可、いやちょっと違うな。その英雄の一人は今や俺と一心同体なわけだ。」
「は、何意味の分からないことを。」
「だったら見せてやるよ。せっかくの初陣だ。大技見せてやるさ。」
そう言うと、俺は大きく息を吸い込み、
「双竜!!」
そう叫んだ。
俺の詠唱ともう一人別の誰かの詠唱が重なった。
俺の隣に一人の少年が降り立った。
「初陣だぜジーク、派手に決めようやないか。」
「そうだね、要。久しぶりに張り切っちゃうぞ。」
そこから決着まではあまりにも短すぎた。
西国王は二人の同時攻撃を捌ききることができず、二人の猛攻にあえなく撃沈。
こうして西国戦は幕を閉じた。
「よかったです。国王が無事で。」
戦いが終わり、ジークが消滅した後、アイシャが目に涙を浮かべながら寄ってきた。
その周りを囲むようにほかの兵士も集まってきた。
「みんなボロボロになってもあきらめずに頑張ってくれて本当にありがとう。誰も死ななくてよかった。」
こうして俺たちは自分の城へ帰るのだった。




