第十一話 vs西国 中編2
口元には笑みが浮かんでいる。
ただ、不用意には突っ込んではいけないような不穏な空気が漂っている。
これは・・・殺気?
全身に悪寒が走る。
それでも戦わなければならない。
正面に剣を構える。
「じゃあ、行くよ。」
さっきまでとは違う声音で宣言する。
「あぁ。」
俺が答えたその刹那ジークが目にもとまらぬ速さで突っ込んできた。
若干ひるみはしたもののなんとか対応する。
だが、防戦一方でなかなか攻撃することができない。
「さすが、かつて英雄と呼ばれていただけはある。素晴らしい腕だ。」
「いやいやーお兄さんもなかなかだよ。お兄さんでもいいかもしれないな。」
「なにが?」
ジークからの返事はない。
ただ、雰囲気が変わった。
さっきまでとはまた何かが違う。
まるで試されているかのような。
それでも、実力の差は明らかだった。
「くっそ、強すぎんだろ。てか、魔法使えないんだな、この空間では。」
「魔法?そんなのがあるの?僕知らないや。」
嘘をついている様子はない。
おそらくジークが生きていたときに魔法はなかったのだろう。
「んー、お兄さんいいと思ったんだけどやっぱりダメみたいだ。君には後継者は務まらない。」
「後継者?どういうことだよ。」
「試練だったんだよ、これは。僕を引き継ぐ器なのかどうかを定める。何十年も待って、お兄さんならいいかもしれない、そう思った。でも、見込み違いだったようだね。」
本気で残念がるジークに怒りを感じた。
おそらく勝たなければ出してもらえない、これは嘘だろう。
だが、わけもわからずこんなところに連れ込まれて、器ではないだのなんだの言われて理解できない。
こんなことしてはいられないのに。
「なにが、見込み違いだよ。こっちのセリフだわ。かつての英雄ってこんなもんかよ。」
ジークの表情が曇る。
「お前は試練だって言っていたけど、こっちだってお前の強さを見定めていたんだぜ。それなのにこの程度とはな。バルムンクがかわいそうだよ。」
「ここまで煽るってことは君は僕よりバルムンクを使いこなすことができる、そういうことだよね。」
「あぁ、確実に使いこなせるね。今と昔じゃこの世界の仕組みは全然違う。俺なら、バルムンクに新しい世界を見せてやることができる。」
「異端者が、面白いね。いいよ、君にバルムンクを託す。」
そう言って、ジークの全身が光る。
目の前に一本の剣が落ちた。
「これが、バルムンクか。」
手にとった瞬間体に衝撃が走った。
ジークやそれより前の相棒との記憶などが全て流れ込んでくる。
体が熱い。
「い、息が、途絶え・・・て」
記憶が途切れた。




