第5話 任務指令伝達(ミッションブリーフィング)
「これが今回、警備することになる会場で~す!」
大型モニタに映し出された立体図を見る。
舞台、観客席、一般客用の通路はまあいい。
問題は、舞台袖や楽屋裏、関係者以外立入禁止の部分だ。
立入禁止といったところで、こういった会場だ。
「穴」はいくらでもあるだろう。
しかし……。
「ヤケに詳しいな?」
〈俺〉は手慣れた感じで、立体図を回転させ、拡大縮小させながら、会場の要所を説明してゆく〈AIユニット〉に声をかける。
「はーい!
ちゃんと、予習しときましたから!!」
「〈AIユニット〉、前に出演したことがあるのよ」
「あー。
〈女先生〉。
タネあかしがはやすぎー。
ぶ~ぅ」
なるほど。
どおりでな。
でも、実際、何百回のシミュレーションより、よっぽど。
「1回でも、実地を見ておけば……。
役に立つものだ」
〈俺〉も開場前にひととおり見ておかなければな、と思う。
何日か前。
事前に見ておくのもいい。
しかし、その場合、搬入物などでレイアウトが変わってしまう恐れがある。
当日は、早めに会場入りすべきだろう。
「……ということで、〈隊長〉と〈AIユニット〉のことは、陸軍はもとより警察・警備関係者に伝達済みです。
便宜を計ってもらえることでしょう。
ただし、出演者をはじめとした芸能関係者、会場スタッフ等には出演者ということになっていますから、接触の際にはくれぐれも注意してください」
「出演者ってどうすんの?」
「まさか〈俺〉は道化役じゃないだろうな?」
「それもおもしろいわね」
「おいおい。
カンベンしてくれ!」
「大丈夫(笑)。
ちゃんと手はずは整えてあります」