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東方 永恋郷『Absolute Sense』  作者: 如月 椿
第2章 悔夢異変
99/211

第99話 過去との邂逅

──────────


「お帰り、優都。随分と遅かったね。何かあった?」


「……いや、何でもないさ。ちょっと時間を忘れちゃってね。」


……嘘だ。鍛練だと言って神社を出てからもう既に二時間ほど経っている。もう辺りは一面闇色だ。


「……そう?なら良い。汗かいてる?お風呂に入った方が良いよ?」


「ん、そうさせてもらうよ。ありがとう、こころ。」


感謝の言葉に微笑みを返して、こころは居間へと消えてゆく。


異変は解決した。そう思っている。

けれど、何かが引っ掛かる。何故かすっきりしない。


「……とりあえず報告は一旦待って、明日は紅魔館に行くか。」


──────────


翌日、紅魔館。


「あら、優都?うちに何か用かしら?それとも私に用かしら?」


「ん、今日はレミリアに用があるかな。少し真面目な話なんだけど、良いかな?」


紅魔館にやって来たのは、レミリアにあの異変のことを聞くためだ。


そう言うと、レミリアが顔を真っ赤にした。……なんだ?何か変なこと言ったかな?


「ま、真面目な話って……どういう話なの?」


真面目な話?真面目な……あぁ、そういうことか。これは言い方が悪かったな。


「そういう話じゃないんだ。あの異変について聞きたいことがあったんだよ。」


「え、あぁ……そうなの。」


何故かがっかりしたように項垂れるレミリア。

本当に何だ?今日のレミリアはよく分からないな。何かあったのか?


「そ、それでっ。聞きたいことって何なの?」


「あぁ、そうそう。あいつに乗っ取られた時に何か気になることとか無かったかな。」


今回は異変を『殺す』という形で解決してしまった。

けれど、これでは納得が出来ない。どういう理由でこんな異変を起こしたのか、辿っていけば分かるかもしれない。


「気になること、ねぇ。……そういえば、最近見ていなかった過去の夢を見たわ。」


レミリアが顔を歪める。よほど思い出したくない記憶だったのだろう。

その気持ちは、僕にだって分かる。思い出したくないことなんて、誰でも一つくらいあるものだ。


「そっか、過去の夢か……。」


「そう言えば、彼女の名前も聞いているわよ。確か──」


その名前を聞いた瞬間。僕は走り出していた。

向かうのは、昨日のあの場所。


「あ、ちょっと優都!?」


レミリアが何か叫ぶが、今の僕にその言葉を聞いている暇は無い。


どうして、何も言わなかったんだ。

どうして、そんなことにも気づけなかったんだ。


「……花梨、どうしてっ!」


山を駆け上がり、あの場所を目指す。『どうして』を考えている場合ではない。その答えは、彼女に会えさえすればすぐに分かる。


そうして辿り着いた、昨日のあの場所、山奥。


そこに立っていたのは──


「ん、来てくれたんだね。お久し振りかな、ゆうくん。」


「……あぁ。久しぶりだよ、花梨。」


『死んだはずの』少女だった。

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