第88話 新妻こころ
どうも、魔理沙だぜ。
久しぶりの前書きだな。面倒くさいからって、作者が前書きと後書きを放棄したんだぜ。
異変はまだ、解決してないみたいだな。
どうやら今回は、こころが可愛い!みたいだぜ?
──────────
あの三度目の戦いから三日。
僕はまた、博麗神社の境内で剣を振るう。
負けた。あの時、僕はそう思った。
すべては僕が愚かだったせいだが、もし霊夢達の身に何かあったらと思うと……。
「僕は……いや、無事だったんだ。これ以上考えるのはやめよう。それよりも、あんな過ちを犯すことのないようにならないと、ね。」
刀を中段に構え、目を閉じる。空気の流れ、風に揺られる木の葉。全てを感じ、全てを把握する。
「……?誰だ?」
背後に何者かの気配。霊夢か?それとも……。
「……優都。お邪魔だった?」
「あぁ、こころか。別に、お邪魔なんてことはないよ。どうかしたの?」
現れたのは秦こころ。三度目の戦いの後、何故かこころは僕を気に入ったようで、この三日間ずっと一緒にいる。
無表情だと思っていたが、聞いたところによればそれは過去の話らしい。
口数は少ないが、表情豊かで可愛い少女だ。
「そう、良かった。……おにぎり作ってきた。食べる?」
「ん、そう言えばもう日が高いな。そんな時間か。うん、頂くよ。」
こころから綺麗な形をしたおにぎりを受け取り、口に入れる。
なんだか新婚の夫婦みたい、と思ったのは内緒だ。
「……美味しい?私、料理は結構得意な方。」
「ん、美味しいよ。というかすごいな。もううちの料理担当やってほしいくらいだよ。」
実際、こころの料理は本当に美味い。
この前は味噌汁や刺身など、和食を作ってもらったけど、得意なんてレベルじゃなかった。
それぞれの素材の味がしっかりとして、何処かの料亭で出されていると聞いても納得出来る。
「料理担当……お嫁さん?」
「いや、待て。何をどう考えて、その結論に至ったんだ?」
料理担当からのお嫁さんは明らかにおかしいだろ。
「……料理担当は、奥さんの仕事じゃないの?あ・な・た?」
可愛いッッ─!
こほん。別にそういうわけでもないと思うんだけどなぁ。
と、いうか。え?
「……僕の?」
「他に誰がいるの?私、優都のお嫁さん。」
「いや、何それ初耳。そんなこと言われたって、僕達三日前に出会ったばかりだよ?」
「愛に時間は関係ない。」
いや、うん。分かるけどね。それは分かるんだけど、急展開すぎて状況を飲み込めてない僕はどうなるの?
「とりあえず、僕はこころと結婚するつもりはないよ?出会ってから日もそんなに経ってないし、そもそも僕達、お互いのことをあんまり知らないでしょ?」
「それは、確かに。でも、優都は私を助けてくれた。それに感謝してるし、もっと優都と一緒にいて、貴方のことを知りたいと思ってる。」
こころは真剣な表情でその可愛い顔をずずいっと近づけてくる。甘い香りが鼻孔をくすぐった。
「あぁ、うん。一緒に居ること自体は別に良いんだ。それはこころの好きにしてくれて良いよ。」
「………やった。」
小さくガッツポーズ。可愛い。
どうも、霊夢よ。
こころが、ねぇ。悔しいけど可愛いわね。
あの無表情なこころが笑ったところなんて、優都じゃあ可愛すぎて耐えられないかもね。
次回までゆっくり待っていなさいよね!