第85話 吸血鬼と半妖と人間?
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「あら、ようやく来たわね。待ちくたびれたわよ。」
屋敷に入ったところで、レミリアが階段を下りてやって来た。
上の階からは、咲夜とフランが顔を覗かせる。
パチュリーは……聞かなくても分かるか。また図書館閉じこもっているのだろう。
「それで?僕たちを呼んだのには何か理由があるんだよな?」
「え?会いたかったから、なんて理由じゃダメかしら?」
首を傾げるレミリア。
そっか、ちゃんと理由があるんならそれで良い──わけあるか!なんだ『会いたかったから』って!てっきり異変関係の話でもするのかと思ってたじゃないか!
「あんたが会いたかったのは優都でしょ?私は必要あったの?というか、そんな理由で私に───」
「あら霊夢、何かしら?何か『この場で』言いたいことでもあるのかしら?」
「なっ──べ、べべ別に言いたいことなんてないわよ!そうね、会いたかったならしょうがないわよね!」
あの、霊夢さん?さっきと言ってること真逆ですよ。レミリアに何を言われたんですか。
顔が真っ青なところを見ると、かなりヤバい秘密でも知られたんじゃないかな。
「で?会いに来たは良いけど、何をするつもりなんだ?」
「それは勿論───」
───弾幕戦闘に決まってるじゃない!
レミリアとフランが口を揃えて答える。
弾幕戦闘だぁ?なんだそれは。そもそも弾幕が撃てない僕はどうするんだ?蜂の巣だぞ。
ひたすら逃げろ、とか言わないよな?それで喜ぶのは一部の特殊な性癖の方だけです僕は違うので勘弁してください。
「あ、優都に関しては、スペルカードの使用は不可。最初に刀を一振りだけ創って、そこからは使用を禁止するわ。」
理不尽だぁぁぁぁぁぁ!
弾幕が撃てない上にスペルカードを使えないなんて、あれ?僕って相当ヤバくない?
僕の力って、ほとんどがスペルカードだよね?剣だけでこの三人を相手に出来ると思う?
はい無理ですね、分かります。
「……『イマジネート・クリエイション』」
スペルカードを発動し、刀を一振りだけ創る。
吸血鬼と半妖相手に剣術で対抗とか、自殺願望でもあるのかと疑いたくなるけど、手加減はしてくれるだろう。
「「「じゃあ、本気でやりましょうか。」」」
……お願いです。ここから逃げさせてください。
まだ死にたくないです。
「ね、ねえ?せめて一つくらいスペルカード使わせてくれても──」
「「「却下します」」」
デスヨネー。この人達絶対に僕をフルボッコにするために呼んだよね。裏で打ち合わせとかしてるよね。
「……命だけは、ご勘弁を。」
「ふふっ。それは保証しかねるわね。日頃の行いを、振り返ってみるのはどうかしら?」
……うん。ここで死んだらどこに向かうんだろうね。わぁい、本気で心配になってきたやー。
「『夢想封印』」
「『スピア・ザ・グングニル』」
「『レーヴァテイン』」