第80話 怒りは殺意へと
どうも、魔理沙だぜ。
ようやくこの物語も80話だな。
まだまだ、というか。まだ三分の一くらいなんだとさ。
優都の秘密が明かされるのは、まだ先になりそうなんだぜ。
「……あら、優都。結界から出てきてたのね……。丁度良いわ、あれを、倒してきてほしいのだけと……。」
普段の紫からは考えられないほど弱々しい声で、弱々しい笑顔で、紫が言う。
『あれ』と、紫が指を指したのは……。
「……また、お前か。今度は霊夢を乗っ取って、何のつもりだ?」
「あら、こんなに早くバレるなんて。そんなに博麗の巫女とは違うものかしら?」
霊夢の顔、霊夢の声で、そいつが笑う。嘲るように笑う。
何故だかそれが、とてつもなく───腹が立った。
「もう、いいや。とりあえずさ、お前は此処等で退場しとけよ。」
途端に口調が変わり、いつもとは違う荒いものとなる。
胸の中に黒い感情が渦巻き、感情は瞳から殺意として相手へと放たれる。
僕は何も言わず刀を創り出し、地面に突き立てた。
「ゆう、と……?貴方、一体何をする気?」
「……大丈夫だ。霊夢には傷の一つたりともつけたりしない。」
「そういうことじゃない!霊夢が傷つかなくても、貴方が傷ついたら意味が無いでしょう!?」
レミリアが何かを叫ぶが、今の僕には何も聞こえない。
正面の『敵』に向けて、鋭利に尖った殺意を放つ。
「一つだけ聞く。貴様は何故、彼女達を乗っ取って、僕の大切な人達を傷つけた。」
「あっはは!そんなの簡単だよ。退屈だったから、殺してあげようと思ったの!」
……そう、か。そんな理由か。
「第八刀技『光焔散華』」
地面に突き立てた刀を手に取り、一瞬で間合いを詰め、背後まで駆け抜ける。
一瞬遅れて斬撃が相手を斬り刻み、霊夢の身体が地面へと倒れ伏せる。
「あ、あはは…私が苦戦した相手を、たった一撃で……」
静かになった昼の神社に、どこか呆れたような紫の声だけが聞こえる。
こんな相手に紫が苦戦するとは思えないが……霊夢の身体であるが故に、攻撃しようにも出来なかったのだろう。
霊夢の実力がどれほどのものなのかは聞いていないが、異変の解決を任されているくらいなのだ、弱いなんてことは決してないだろう。
「さっさと霊夢の身体から失せろ。貴様のようなものが僕の大切な人達の身体を乗っ取っているというだけで、手加減なしに斬り殺したくなるんだ。」
倒れ伏した霊夢──その中にいる『それ』を見下ろして、酷く冷めきった声で僕は言う。
ここに来てから、こんな声を出したのは初めてかもしれない。
幻想郷にきてから初めて、僕は本気で怒っている。
そんな僕の本気の殺意を受けて、『それ』は狂ったように笑った。
「きゃはははははははははは!なに、怒ってるの!?大切な人を傷つけられて怒っちゃった!?傷つけられて怒るのなら、殺したらどれだけ怒るの?きゃははは!」
不愉快な甲高い声で嗤い、僕を余計に苛立たせる。
言葉が通じないほどに知能が低いのか。ならばこれは仕方がないことだ。
「うん、やっぱり死ねよ、お前。」
どうも、早苗です。
この物語も90000文字を越え、作者さんは
「これでラノベ一冊分、くらいだな。」
なんて呟いてました。
今はオリジナルの小説も少しずつ書き始めたみたいで、結構忙しいようです。
さて、本編では優都君がかなり怒っているようです。ここまで怒ったのは、見たこと無いですね。
次回までゆっくり待っていてくださいね。