第79話 禁忌の巫女と吸血鬼
どうも、魔理沙だぜ。
霊夢が半妖で、咲夜が吸血鬼で、早苗が現人神?
なんかもう、分かんなくなってきたんだぜ。
あ、先代博麗の巫女、博麗霊姫とか、その母親の博麗霊華に関しては、完全にオリジナルの設定なんだぜ。
『禁忌の巫女』ってのもオリジナルだな!
──────────(view side Sakuya)
「お嬢様は、やっぱり優都のことが好きなんでしょうね。……彼には、過去の話もしたのでしょうか。」
暖かな日差しが屋敷を包み込む。私は庭へと出て掃除をしながら、ふとそんなことを呟いた。
吸血鬼と人間は違う。
かつて人間と妖怪が絶えず争っていた頃と何も変わらない。人間と妖怪が真の意味で分かり合えることなどないのだ。
それは、人間が人間であるが故に。妖怪が妖怪であるが故に。
違う種であるところの吸血鬼と人間は、そもそも生きる世界が違うのだ。
「……どんなに想いを寄せても、その想いが届くことは決してないのでしょう。」
過去を話したのなら、私のこともきっと話しているはず。
おそらく彼は、私のことを人間だとおもっていたのでしょう。
人と妖怪が想い合うことは禁忌だ。それはお嬢様も知っていらっしゃる。
過去に、先代博麗の巫女の母親、博麗霊華がその禁忌を犯し、先代巫女、博麗霊姫を生んですぐに殺されたという。
もう600年も前の話なので、妖怪にも当時を知る者はそう多くないが、博麗が『禁忌の巫女』であることは今この時まで語られている。
「禁忌、ね。今この禁忌を犯せば、まず間違いなく紫に殺されるのでしょうね。本来なら、人間と妖怪は出会うべきではないのだから……」
お嬢様。どうか、二人が幸せな時を過ごせますよう。
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「咲夜はね、もう150年くらい前、『人間の里』なんて場所もなかった頃に人間の住む地域に居た吸血鬼。あの子を差別し、隔離した人間達を皆殺しにして、私が紅魔館に住まわせたの。」
当時を思い出しているのか、レミリアは遠い空を眺めながら言う。
彼女の瞳には、今何が映っているのか。
「吸血鬼。私達スカーレット以外では、初めて見た存在だったわ。未だにあの子の親は分からないし、純血なのかどうかも分かっていない。あの子については謎だらけなのよね。」
吸血鬼であることは分かっているが、その他は何も分かっていない、か。
何故吸血鬼であることが分かっているのかは知らないが、彼女も不明な点が多い分、危険度が高い存在だな。
「まぁ、謎という面では、貴方の方がよっぽど謎なのだけどね。」
先ほどまでとは違う、幼い少女のような純粋な笑みを浮かべて、レミリアが言う。
確かに、僕の方がよほど謎な部分が多いだろう。
だが………。
「本当に悪いんだけど。僕のことについては何一つ話せることがないんだ。こればっかりは、譲れない。」
「……そう。『話したくない』じゃなくて、『話せない』のでしょう?だったら仕方ないわ。……でも、せめてこれだけは聞かせて。」
───貴方は、どうしてこんなにも一生懸命に私達を守ろうとするのかしら?
レミリアは真剣な表情に戻り、僕に向かって問う。
彼女の瞳の中には、真剣な表情で彼女を見つめる僕の姿が映った。
彼女達を守る理由。命を懸ける理由。
そんなのは、考えるまでもなく決まりきっている。
僕は───
「君達が僕を───」
──言おうとした瞬間。
目の前を、何かが高速で横切った。
『それ』は、およそ物がぶつかった時の音ではない、とてつもない爆発音を響かせた。
それは、僕もレミリアもよく知っている人物で───
「お、おい!?何があったんだよ、紫!!」
どうも、早苗です。
またまた気になる終わり方をしましたね。
紫さんはどうしたのでしょうか?
それは次回、明かになります!
次回までゆっくり待っていてくださいね!