第78話 あの子は
どうも、魔理沙だぜ。
ついに明かされる、咲夜の真実!
原作では、咲夜も早苗も人間ってことになってるんだけどな。
これもオリジナルの設定だぜ。
「あら、これだから歳だけ取ってる妖怪は嫌なのよね。貴女も、乙女って歳じゃないのにね?」
異変は霊夢の顔で馬鹿にするように笑う。
本当に腹が立つ。霊夢もろとも消し飛ばしたくなるくらいに。
流石にそれは思いとどまるが、正直その方が楽だとも思っている。
霊夢が死んだら異変の解決は全部私の仕事になるからやったりはしないが。
「貴女が私の力でどうにもならないことは分かったわ。」
「なら、どうするのかしら?死ぬの?幻想郷最強の妖怪が異変に屈するのかしら。」
いちいち煽ってくるのが少し面倒くさくなってきた。
もう何でもいい。面倒事は彼に押し付けるとしよう。
「じゃあね。あとは彼が相手してくれるわよ。叩き潰されちゃいなさいな♪」
「……そういうのを『虎の威を借る狐』って言うのよ、幻想郷最強の妖怪さん?」
「あら?霊夢の身体と力を使ってる貴女みたいな腰抜けに言われたくないわね。」
異変が霊夢の顔で『むっ』とした。こいつも案外子供だ。
私はそのまま、異変を置いてスキマから出る。
「……私一人でなんとかなると思ってたのに。まさかあそこまで厄介だとはね。」
辺りを見渡す。博麗神社の周りはいつものように誰も居ないようだ。
優都とレミリアの姿も見当たらない。まだ出てきていないのだろうか。
「……早く見つけて、この面倒事を終わらせないとね。なんて言ってるうちに──」
やはり、来た。
どうやって出てきたのかは知らないが、『それ』はスキマを破って強引に外へと出てくる。
「私を忘れていたわよ?閉じ込めるなんて、酷いじゃない?」
「容易く出てきたくせに、よく言うわよ。お前、本当に何者なのよ。」
本当に、呆れたものだ。幻想郷最強の妖怪であるところの私がつくるスキマをあんなに容易く抜けてくるなんて。
「ほんと、面倒ね。」
──────────
「……不老不死、か?」
「ええ、そんなところね。死ぬことがない私達は、老いることをやめたの。まぁ、絶対に死なないわけじゃないけどね。それほど長く生きられるの。」
とても信じられない話だ。向こうの世界でなら。
こちらの世界に居るからこそ、受け入れられる常識。
「……それなら、人間の里以外に人間ってどれくらいの人数が居るんだ?」
「……二人よ。魔理沙と、貴方。まともに『人間』という種族に分類されるのは、それだけ。」
………え?
いや、そんなはずはない。姉さんは何かあるようだが、咲夜だって人間のはずだ。
……彼女にも、何かあるのか?
「姉さ──早苗は、咲夜は、どうなんだ?人間なんじゃないのか?」
「早苗は、少なくとも『普通の』人間ではないわ。彼女は、現人神。この世界では、そういう分類になっている。そして、咲夜は───」
レミリアは一瞬視線を空へ向け、やがてこちらを向き直り、口を開く。
──あの子は、吸血鬼よ。
どうも、早苗です。
そうなんです。私、ここの幻想郷だと『現人神』に分類されるんですよ。
レミリアさんの言う『ただの』人間ではないと言うことですね。
ふふっ。咲夜さんの本当の種族が明らかになりました。でも、どうしてレミリアさんは言いにくそうにしているのでしょう?
次回までゆっくり待っていてくださいね。