第77話 半妖の巫女
どうも、魔理沙だぜ。
ここに来て衝撃の真実だな。
これもオリジナルの設定だから、原作にはないぜ。
「それから少ししてね、人間と妖怪の共存を提案した大馬鹿者が現れたの。……それが、先代博麗の巫女よ。」
『先代』ということは、霊夢の母親か。
ん、待てよ………?
「待て、それは時間が狂わないか?先代の博麗の巫女は、人間だろう?」
レミリアは『それから少しして』と言った。
レミリアの時間感覚は分からないが、おそらく200年ほどはあるだろう。
そんな年月を、人間が生きられるはずがない。
「あら、人間よ?先代も、今の博麗の巫女も、ね。」
「いや、それなら時間が狂ってしまうから──」
───この世界の人間ってね、200年生きるなんて、簡単に出来るのよ。
僕の言葉を遮って、レミリアが言う。
確かに、人間の寿命の話なんて、僕が居た外の世界でのことだが……。
「この幻想郷には、永遠の命を手に入れる方法なんて幾らでもあるけど、彼女はそうじゃない。」
一呼吸おいて、顔をこちらに向け、続ける。
「彼女は、妖怪の血を引いた人間。半妖よ。種族にもよるけれど、半妖は普通の人間より遥かに寿命が長いわ。」
霊夢の母親、先代博麗の巫女が、半妖……?
それはつまり、霊夢は──
「霊夢は、妖怪の血を引いているのか?」
「えぇ。でも、分からない。彼女がどんな妖怪の血を引いていたのか、誰にも分からないの。先代博麗の巫女は、行方が分からなくなってもう300年。だから、誰にも知りようがない。」
そう、か……。
何かも分からない妖怪の血を引いている人間。
危険は未知数だろう。
「霊夢は、知っているのか?」
「……いいえ。でも、いずれ分かるわ。先代と同じようになるという保証は無いけれど、彼女たちはね──」
──年を、取らなくなるのよ。
──────────(view side Yukari)
攻撃を止めて防御に徹し始めてから、どれくらい時間が経っただろう。
流石に霊夢の力。私でもまともに受ければただでは済まない。
「本当に厄介ね~。霊夢がどうしてそんな簡単に乗っ取られたのか知らないけど、実体がない貴女相手じゃあ、流石の私も打つ手が無いわ。」
「あはは!じゃあ諦めて死ぬの?私はそれでも良いよ。もう飽きちゃったから!」
実に腹の立つ言い方だ。
馬鹿にされているのは分かっているけれど、正直実力差がありすぎて相手の攻撃をまともに対応しきれてないのは事実だ。
「下手に弾幕を放つことも出来ないし……。あぁもう、何を考えても彼の顔が浮かんでくるわ……!」
「あらあら、あの八雲紫が本当に恋する乙女になってしまったのかしら?あはっ、これは傑作ね!」
「……うるさいわよ?恋も知らないお子様が何を言っているのかしら。」
ちょっとイラッとしたので、出来る限りの哀れみを相手に向け言う。
こんなことで怒るようじゃ、私もまだまだ子供、か。
どうも、早苗です。
まさか、霊夢さんが………。
なんて。知ってましたよ。
知らされていないのは、霊夢さんだけ、ですかね。
次回までゆっくり待っていてくださいね。