第76話 その永い時間を背負う者
どうも、魔理沙だぜ。
あれ、今回は優都とレミリアの視点の方が長いみたいだな。
紫と異変の戦いはまだみたいだぜ。
あと、オリジナル設定が多用されてるぜ。
もうこの小説は、ほとんどオリジナル設定で構成されてると考えてもらって良いぜ。
「貴女、すごく厄介ね。霊夢を傷つけられない私からしたら、物凄く面倒だわ。」
私の攻撃は、『それ』に直接作用するものがない。
そもそも、私の攻撃が通じるのかすら怪しいものだ。
「あら?貴女が幻想郷最強の妖怪なんじゃなかったの?これじゃあ拍子抜けよ?」
……なんとも腹の立つ言い方で煽ってくる。
こいつがレミリアを乗っ取っていたのか。優都はどうやって追い出したのだろう。
「……はぁ。彼が助けに来てくれたら良いんだけど。来るはずはないわよね。」
おそらくはまだ、レミリアと話でもしているんじゃないだろうか。
たとえこちらにやって来たとしても、この空間の位置は分からないはすだし、この空間に入ってくることは幾らなんでも無理だ。
つまり、助けに来てくれる見込みはなし。可能性は全くのゼロ。
やはり、私がなんとかする必要があるのだろう。
「あはっ、貴女が私をここに閉じ込めたんじゃない。自業自得よ♪」
相手は霊夢の顔で、嘲笑うようにこちらを見ている。
本当に腹が立つ。霊夢じゃなかったら消し去っていたかもしれない。
「霊夢の顔でそういう口調になるの、やめてくれるかしら?……寒気がするの。」
ここは、私の空間。
勝てなくても、負けるつもりはない。
──────────
「……そう。貴方も、人を殺したのね。私と同じだわ。」
「……そっか。君も人を殺しているのか。」
過去を話し終えた僕は、 レミリアと背中合わせで座り、手を繋ぐ。
少しの沈黙。それはどこか、心地のよいものだった。
人殺し二人が木漏れ日の差し込むこの場所で静かに目を閉じる。
「……貴方と同じように人を殺した者は、この幻想郷には掃いて捨てるほど居るわ。人間、妖怪を問わずね。」
「……この世界に、それを裁く者は居ないのか?」
「居るには居るのだけどね。そういうことではないのよ。」
よく、分からない。
「ふふっ。私達妖怪はね、人間達に存在を忘れられたら消えてなくなるの。だから、異変を起こして自分の存在を見せつける。」
僕の心を読んだんじゃないかと疑いたくなるようなタイミングで、レミリアが話し始める。
……なるほど。だから彼女たち妖怪は、こんなにも何度も異変を起こすのか。
「時に、それで誰かを殺すこともあるわ。……でも、それは自分が消えないようにするために必要なこと。例え人間に憎まれることになっても、私達はそうするしかなかった。」
「……今は、どうなんだ?今も、君達は人を殺しているのか?」
僕の質問に、レミリアは首を横に振った。
真剣な表情のまま、レミリアは僕の手を強く握る。
「……これは、300年ほど昔の話。まだこの地で、人間と妖怪の殺し合いが当たり前に起こっていた頃の話よ。」
300年。そう聞いて、レミリアが吸血鬼であったことを思い出す。
人間の少女と何も変わらないその小さな背中に、500年もの長い時を背負って彼女は生きているのだ。
どうも、早苗です。
『人間に忘れられたら消えてなくなる』という設定は原作にはないオリジナル設定ですね。
この物語を語る上で、必要な設定です。
ちなみに、『300年前には人間と妖怪が殺し合っていた』というのも、オリジナルの設定ですよ。
レミリアさんの話が、次回にも入るようですね。
次回までゆっくり待っていてくださいね。