第75話 私を変えてくれたのは
どうも、魔理沙だぜ。
どうやら優都は過去と対峙するみたいだな。
優都の過去にはまだまだ謎が多い。
少しずつ、明かされていくぜ。
「そっか。レミリアは、そんな風に思ってたんだね。」
「ゆ、優都はどうなの?貴方も、何か隠してることがあるんじゃない?」
……流石に、そこは分かってしまうか。
仕方ないだろう。あんな『狂気』を見てしまっては、そう考えるのが妥当なところだ。
仕方がない。もう、逃げ道なんて無いんだ。
なら、向き合おう。
自らの過去と真正面から対峙して、幻影に打ち勝て。
何年も逃げ続けてきた過去と、ようやく向き合う。
一歩ずつ、確実に幻影へと近づいていく。
「僕は、人を殺してるのさ。何人も、ね。」
──────────(view side Yukari)
「……あの二人、上手くやっているかしら。」
私は無意識のうちにそう呟き、気づいて、笑う。
らしくない。私があんなことに干渉するだなんて。
普段なら、端から見守るだけで関わったりしないはずなのに。
「ふふっ。やっぱり、彼の影響かしらね。」
彼がやって来て、まだ大して長い時間が経ったわけではない。
けれど、彼と出会った者達は、少しずつ彼に変えられ始めている。
不思議な人間だ。
これまで誰にも侵されなかった私の領域を、いとも容易く入ってきて、何もかもを変えていった。
私にとっては、二つとないイレギュラー。
「……私をこんな恋する乙女みたいな気持ちにさせたのは彼が初めてね。本当に、不思議な人間だわ。」
「あらら、幻想郷の賢者さんが、随分と乙女みたいな悩み事してるじゃない?」
背後から霊夢の声。
霊夢は結界に巻き込んでいなかったのか。まぁ、前回のようにスペルカードの効かない異変なら面倒なことになるから、優都一人で行ったのだろう。
「あら、ようやく出てきたわね。待っていたのよ、霊夢。」
私は正面から霊夢と向き合い、戦闘態勢をとる。
「あら、何のつもり?今は異変の解決が先よ。そんなことをしている場合じゃないわ。」
「ええ。だから早く異変を解決しようとしてるのよ。私、面倒事は手早く済ませたいのよね。」
わざわざスペルカード発動の宣言をする必要はない。
こいつは────
「さっさと消し飛んでくれるかしら、元凶さん?」
「あらあら、どうして気づいたのかしら。演技では絶対の自信があるのだけど。」
今回の異変の元凶。
予想通り、厄介な相手のようだ。
雰囲気がとても気持ち悪い。禍々しい気配。
霊夢ほどの実力者の身体を容易く奪ってしまうとは、油断していると私でも乗っ取られかねない。
「優都の結界から抜け出したばかりみたいだけど、次はスキマにご招待するわ。」
私は相手が何らかの行動を見せる前に、すぐさまスキマの中へと閉じ込める。
相手は霊夢の能力を使えるのだろう。そうなると、なかなかの強敵になる。
「私を閉じ込めたのは良いけれど、貴女が私に勝てるのかしら?彼は……完全に規格外の怪物だったけれど、貴女はどうなのかしらねぇ?」
霊夢の顔で、寒気がするような嫌な笑みを浮かべて、『それ』は言う。
………私を挑発するとは。外の世界には身の程を弁えない輩があちこちに居るようだ。
と、言いたかったが。
どうやらそうも言ってられないようだ。
どうも、早苗です。
本編で霊夢さんが乗っ取られてるそうなので、
またまた私が代わりにやって来ました。
どうやら今度は、紫さんが異変と戦うみたいです。
幻想郷最強の妖怪と、謎の異変。
果たしてどちらが勝つのでしょう?
この戦いが終わった後、もしかしたら。
「紫が可愛い!」
なんて、思うかもしれないですよ?
では、次回までゆっくり待っていてくださいね。