第67話 其は狂気なり
どうも、魔理沙だぜ。
どんどん優都の謎が深まっていくぜ。
全然分からないだろう?
分からないように書いているからな。
え?『異変はもうすぐ解決か?』って?
そんなわけないんだぜ。
まだまだ続くんだぜ!
───そう?貴女は本当に彼のことが好き?その気持ちに偽りは無いと、そう言える?
こいつは、何が言いたい?
私のこの気持ちが、まやかしだとでも言いたいのか?
……そんなはずがない。この気持ちは……この胸の高鳴りは、まさしく恋。
「この気持ちに、偽りは無い。私は、本気で彼のことが好きなの。」
───……貴女、彼の何を知っているの?
………え?
何を?何を知っているか、だと?
……何も、知らない。出会ってから日も浅い私が知っていることなんて、本当に少しだ。
───ふふ。今の彼を見たら、きっと貴女は彼を好きでなくなるわ。だって、今の彼ってば───
『それ』は、言った。
『昔の貴女みたいだもの』と。
彼が、昔の私みたいに?
そんなことはあり得ない。昔の私は、人殺しで、狂っていて……。
───ふふ。自分の目で確かめてみると良いわ。どうせ私はもうすぐ消されるもの。
「──!?待ちなさい、逃げるつもり!?」
そこから気配がなくなる。
『あいつ』は何処かへ消えていったようだ。
少しずつ、暗闇に光が差し込み始める。
その光は、やがて暗闇を消し去り、そこで私が見たものは───
「あははははははは!弱すぎる、弱すぎるよ!もっともっと殺し合おう!もっと殺して、もっと傷つけて、もっと絶望に包まれろ!」
『狂気』だった。
──────────
僕を埋め尽くしたのは、過去の『狂気』だった。
『それ』は僕の意識を侵食し、僕を化け物へと変化させる。
狂え、狂え、狂え、狂え。
僕の精神を塗りつぶす闇。
今この時は、貴様にこの身をくれてやろう。
だから、容赦はするな。あの『偽りの狂気』を殺してしまえ。
「あははははははは!君に命令されるまでもないよ!僕は僕の意思であの『偽り』を殺してあげるから!」
『そうか。ならいい。
出来る限り早く終わらせてくれ。長引かせると厄介だ。』
「あは、了解したよ。スペルカード、だったかな?使わせてもらっても良いよね?」
『あぁ、好きに使え。ただし、殺して良いのは『偽り』だけだぞ。身体の持ち主は絶対に殺すな。』
「それは勿論さ。『アナザー』の意思に反するようなことはしないと約束するよ。」
『……『オリジナル』ではなく、『アナザー』か。やっぱり、『あいつ』が本物なんだな。』
「そりゃ勿論。そこの詳細もそのうち分かるさ。じゃあ、そろそろ始めるから黙っていてもらえるかな、『アナザー』。」
『ん、了解したよ。良いか?出来るだけ早くだ。』
僕の顔、僕の身体が僕の意思とは別で動く。気持ちの悪い感覚だ。
「……独り言は終わったの?」
偽レミリアが敵意を剥き出しにして問う。
ここで逃げなかった度胸は褒めるに値する。けど。
「さぁ、もうそろそろ時間だから始めようか。」
一方的な絶望を。
どうも、霊夢よ。
あらら、『オリジナル』と『アナザー』ね。
誰と誰のことを言っているのか、貴方は分かる?
ふふ。霜月花梨の正体も謎ね。
まぁ、それもそのうち分かるわ。
次回までゆっくり待っていなさいよね!