第64話 狂い狂って恋をする
どうも、魔理沙だぜ。
最近作者のヤツがよく寝オチするようになって、全然前書きに登場できなかったんだぜ。
今回は妖夢の視点か?……むむ。私が優都の恋人候補に入っていないのがすごく不満なんだぜ。
まぁ、私は───の方が好きだから仕方ないんだけどな。
優都が誰を選ぶのかも必見だぜ!
「冗談よ。……誰のことを考えていたのかしら?」
「え、あれ?聞いてました?」
というか、声に出していたのか?全然気づかなかった……。
「ふふ。優都くんのことでしょう?」
「あはは、やっぱり声に出していましたか……。」
油断しすぎだ。もっと気を付けないと。無意識に余計なことを喋ったら大変だし──
「あぁ、妖夢も恋をする年頃なのね♪」
「こ、ここここここ恋!?」
幽々子様はのほほんと笑っている。
この人は、何を考えているのか本当に分からない。
「あら、違ったのかしら?」
「ち、違い──ませんけど!そうじゃなく!」
間違っては、ないと思う。どうしてそうなったのかは知らない。けれど、彼の傍にいたいと、強く願ったのは紛れもない真実だ。
でも、それを『恋』だと考えるのは……。
「なんだか私、軽い女みたいじゃないですか。」
好きになった理由もなく、ただ好きだという気持ちが漠然と存在するだけ。
そんな感情を向けているのは優都に失礼だと、そう思うのだ。
「そうかしら?」
「そうですよ!会ってそれほど日も経っていない人を、ただ理由もなく好きだなんて!」
私には許せない。幽々子様には分からない。
「そう。……でも、貴女の『好き』は、偽物なのかしら?」
「…………え?」
どういう、意味だ?
私の『好き』は、本物だ。理由が無くても、好きだというのはしっかりと分かる。
彼と剣を交わして、似た者同士の私たち。
あ────。
「ふふ。分かったかしら?」
幽々子様が、私の心を見透かしたかのようにそう言って、いつものようにのほほんと微笑んだ。
そうだ。どうして分からなかった?どうして気付かなかった?
私が彼を好きになった理由なんて、あちこちにあったんだ。
剣を交わした時の彼の表情は、とても真剣で格好良かった。
たとえ負けそうな戦いでも、手を尽くして勝ち抜いて、私たちを救ってくれて。
剣を教えてくれた時は、すごく優しくて、彼の本当の顔が見られた気がした。
「……幽々子様。私は、神無月優都に恋をしています。」
「……そう。良かったわね、人を好きになれて。」
幽々子様は分かっていたんだ。私が彼を心から好きでいることに。
本当に、幽々子様は凄い方だ。本当に、敵わない。
「もう少し、剣の稽古を続けていても良いですか?朝食はその後すぐにご用意致しますので。」
「ええ。私は、貴女の恋が成就することを願っているわ、妖夢。」
──────────(view side ???)
彼女は、記憶を映し、その身を喰らい、我が物とする。
目的は、ただ一つ。
「殺すわ。貴方が悪いの。ころすコロス殺すわ。」
少女は狂う。狂い狂って人を喰う。記憶を喰らう。
その少女は、また一人、喰らった。
それは─────
「吸血鬼、レミリア・スカーレット。……ふふっ。この子の過去ってば酷いものね。流石の私もちょっと同情しちゃうわ。」
少女は狂う。
瘴気を放つ、『最悪の絶望』を携えて。
どうも、霊夢よ。
なんだか、嫌な予感がするわね。
久しぶりに後書きに出てこれたと思ったら、なんだか本編では面倒なことになってるじゃない?
……少しくらい休みたいわね。
さぁ、どうやらレミリアが喰われたみたいね。
どうやら厄介な敵のようね。
私と優都で叩き潰してあげるわ。
次回までゆっくり待っていなさいよね!