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東方 永恋郷『Absolute Sense』  作者: 如月 椿
第2章 悔夢異変
62/211

第62話 歪な狂気

──────────


「─────ハァッッッ!」


妖夢が地を駆ける。一瞬でこちらの懐へと潜り込み、そのまま斬撃を───


「甘いな、動きが単調だ。」


放つなんてこと、僕が許すわけがない。

妖夢の渾身の一撃を『陽炎』の刀身が受け止め、流す。


妖夢は跳躍し、僕から距離をとる。


「……ほんと、流石です。技を使うこともなくこの強さなんて。」


妖夢が肩で息をしながら言う。


今しているのは、『技を使わずに勝負する』、単純な実力勝負。


単純な剣の扱いなら、彼女に負けることはない。


「………ふぅ。今日はこんなもので良いかな?」


「はぁ、はぁ。な、なんで優都は息が上がってないの?」


きっちり一時間。一時間稽古をした。あれだけ動き回っていたから、妖夢は息が上がっている。


「どうして、か。……妖夢。次は本気で来い。その理由を教えてやる。」


「……ふふっ。次は、絶対に一太刀浴びせてみせるッッ!」


──────────(view side  Remilia)


「霜月、花梨?……聞いたことのない名ね。」


少なくとも、妖怪の名前としては聞いたことがない。

となると、人間………?


「あぁ、ゆうくん話してなかったんだ?寂しいなぁ、彼だけこっちに来ちゃうんだもん。」


こっちに来る?その言葉が意味するのは───


「外の人間、なの?」


「ふふふ、ご名答♪私は、この世界にいる優都と、同じ世界から来た人間だよ?多分。」


相変わらず不気味な笑顔を浮かべる花梨。


この女は危険だ。私の本能がそう告げている。

何を考えているのか読めない。


「……さっきの言葉、どういう意味?」


「ん?そのままだよ。面白いものを持ってるのね、貴女。」


その『面白いもの』が何なのかと聞いているのに。


「なかなか興味深いものねぇ、その『過去』」


「───ッ!?……言いなさい、お前本当は何者?」


今の一瞬、花梨から膨大なエネルギーを感じた。

あれは人間が持てるエネルギー量の限界を遥かに越えている。


つまり、こいつは────


「あらら、またバレちゃった♪そうだよ、私ってば人間じゃあないの。」


「神槍『スピア・ザ・グングニル』」


人間ではないもの。更に、この紅魔館の結界を破って入ってこれるほどの化け物。


こいつを生かしておくのは危ない。危なすぎる。

今ここで、始末しておかなければ。全力で槍を放つ。


槍は花梨の胸を貫き、胸に大きな穴を開ける。


完全に貫いた。これで危険の可能性はなくなった───

と、思えたのも一瞬だけだった。


「いたたた。酷いことするわね、吸血鬼。これは私も本気でいかないと。」


そこに見えたのは、姿形の歪な黒い塊。もはや先ほどまでの少女の面影はほとんど残っていない。


「さぁ、私の番を始めるよー!」

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