第61話 少女は嗤う
どうも、魔理沙だぜ。
最近は投稿が遅くて申し訳ないんだぜ。
作者もなんだかんだで忙しいんだぜ。
本当ならストックも作ってるはずだったんだが。
全く出来てないんだぜ。
何も聞こえない館の中。
静寂がうるさくて、わざと大声で叫ぶ。
「ここにいるんでしょう?ここの人間はみんな殺したわ。もう、誰も貴女を傷つけたりしないわよ。」
出来るだけ優しく言う。あの子はここに居るはずだ。
けれど、返ってきたのは長い静寂。
向こうからやって来るのを待っていると、日が昇る時間になってしまった。
「出てきてくれないなら、私が探して見つけるわよ?良いのね?」
じれったくなって、館を探し始める。これだけ待ったのだ。もう動いても良いだろう。
大きな館でも、一つ一つの部屋が大きいため、部屋数はそこまで多くない。
隠れる場所も限られてくる。
二十分が経過。まだ見つからない。が、探していないのは残り一部屋だ。
私は、その扉を開けようと──
「───────ッ!?」
突然、目を覚ます。目に映るのは見慣れた天井。
「……珍しいわね。夢を見ていたなんて。」
少なくとも、ここ数年は夢なんて見ていなかったはず。
久しぶりに見たのがあの光景なんて、何の嫌がらせだろうか。
「さて、咲夜の紅茶でも飲んでこんなことは忘れ──」
──ふふっ。なかなか面白いものを持っているのね。
突如、後ろから聞こえる声。
本能が危険だと告げる。
私は『スピア・ザ・グングニル』を発動し、臨戦態勢に入る。
「……何者?」
「あら、意外と冷静なのね。流石は紅魔館の主と言ったところかしら。……でも、ご自慢の結界が破られて動揺しないわけがないわよね?」
何が楽しいのか、相手は笑顔を絶やさない。それがかえって不気味だ。
「貴方は、人間?」
「ふふ、そう見える?」
「質問に質問で返すのは良くないんじゃないかしら。」
「あら、それは失礼。じゃあ名乗らせてもらうわね。私の名前はね──」
彼女は口を歪に歪めて嗤う。
その口から放たれた名は
───霜月花梨よ。
──────────
「……あれ、妖夢?」
「お久しぶりですね、優都さん。『境界異変』以来ですか?」
境内の掃除をしていると、妖夢が階段を上ってきた。
空を飛んで来れるだろうに、
わざわざ鳥居をくぐって一礼して、なんて。真面目なヤツだ。
「そんなに堅苦しい話し方じゃなくて良いよ。呼び方も。」
「そう?それじゃあ優都。お願いがあるんだけど……。」
うん、やっぱりこっちの方が良い。
同じ年頃の子に敬語で話されると妙に落ち着かない。
「……え?お願い?」
「えと、ね。私に剣を教えてほしいの!」
……え?そんだけ?
なんか告白されそうな雰囲気だったんだけど。まずあり得ないけど。
え、そんだけ?
「それくらいなら全然構わないけど。……というか、僕でいいのか?」
「ええ、もちろん!これからよろしくね、優都!」
その時、妖夢が見せたのは、普段の真面目な表情とは違った、可憐な笑顔で。
あぁ、彼女も『光』なのだと、心の中でそう呟いた。
どうも、霊夢よ。
妖夢が優都に剣を教わるらしいわね。
でも、目的は本当にそれかしら?
そして、なんだか嫌な予感…。
これは、異変の予感かしら。
次回までゆっくり待っていなさいよね!