第60話 彼と彼女のあの日を
どうも、魔理沙だぜ。
今回は前回よりグロいかもな。
そういうのが苦手な人は本当に読まない方が良いいもな。
「いや、こんなことを言うのはやめよう。『あいつ』が聞いたら絶対に怒る。」
あぁ、あいつは絶対に怒る。
『ゆうちゃんのせいじゃないんだから、そんな風に言わなくて良いの!』
とか言って、凄く怒る。
思い出して、吹き出しそうになる。あまりにも可笑しくて、肩を震わせる。
あぁ、可笑しい。
けれど、いつの間にか笑い声の中に、嗚咽が混じっていることに気がついた。
次第に嗚咽の方が大きくなって、涙が一滴、零れ落ちた。
「……ははっ。肩が震えてたのって、笑ってたんじゃなくて、泣いてたんだな。」
他人事のように自分を笑い飛ばす。
滑稽だ。忘れて笑顔でいようと願った矢先に、また過去に囚われて涙を流すのだ。
昔はいつもそうだった。何かある度に泣いて、叫んで、疲れて、眠って。
次の日起きたらすっかり元通り。それで良かった。
でも、『あいつ』が死んだあの日からは、別だ。
あの日から、何故か僕は泣かなくなった。
『あいつ』の存在は、僕の中で『感情』と等価と言っても過言ではなかった。
『あいつ』が悲しむから泣かなかったのではない。
『あいつ』を失って、感情自体が抜け落ちたのだ。
「あの時は、泣かなかったけど。感情が戻ったから、その分の涙なのかな。」
こんなに格好悪い姿、誰かに見られるのは困るな。
特に、霊夢が見たら絶対に笑う。あいつは笑う。間違いなく笑う。
僕はさっさと涙を拭い、何故か設置されている洗面所に向かう。
もう、あの日のことを思い出すのはこれっきりにしてほしいものだ。
──────────(view side Remilia)
血。土の茶色を埋め尽くすほどに染まる赤。
ちょうど着ていたお気に入りの服は、返り血で汚れた。
「あは、脆いものねぇ、人間。貴方達は、揃いも揃ってこんなに簡単に死んでしまうの?もっと私を楽しませたらどうなの?あははっ!」
狂ったような笑い声が、何も聞こえないこの地に響き渡る。
その声を発したのが自分なのだと気づいたのは、少し後のことだ。
ここが何処なのかは知らない。殺した人間が誰なのかは知らない。
けれど、そんなことは関係なかった。
私は、ずっとこの土地を見守ってきた。
人々は、表面上は優しく見えた。
違う。彼らは優しくなんてない。
人間はみんなそうだった。
この500年、何処で出会った人間も、みんなそうだった。
人外を殺そうとする。差別する。憎む。
何も知らない幼い子供も、人外であれば容赦なく殺す。
「ふふ。傲慢よね、人間って。少し言葉を覚えた程度の分際で、よくもまぁ私達吸血鬼に勝てるなんて思ったものね。」
最後に生き残っていた男の首を跳ね、頭部を地に叩きつけて槍で貫く。
砕け散った頭部から、眼球がこちらへと転がってくる。
「あら、汚いわね。さっさと彼女をここから連れ出して、何処か別の場所に行きましょうか。」
そう言って私は、そこに転がった眼球を何の躊躇いもなく踏み潰し、地を埋め尽くすほどの数の死体を時折槍で串刺しにして容赦なく焼き尽くし、視線の先にある大きな館へと向かう。
どうも、霊夢よ。
レミリアもえげつないことするわね。
今のあいつからは想像もつかないわ。
作者のヤツもこういう描写は慣れてないはずなんだけどね。
随分と残酷な表現も使うのね。
次回までゆっくり待っていなさいよね!