第56話 その出会いは
どうも、魔理沙だぜ。
どうにも謎が多い描写が増えてきたみたいだな。
全てが後の伏線になるんだぜ。
相変わらず文章力の無い作者で、本当に申し訳ないんだぜ。
──────────(view side Remilia)
紅い。視界を埋め尽くす、 毒々しいまでの紅。
あの時の善意を、私はひどく後悔している。
あれを、『偽善』と呼ぶのだろうか。
私は、『偽善者』なのだろうか。
「過去を悔やんでも仕方ないのだと、分かってはいるのだけどね。」
それでも、悔やまずにはいられないのだ……あの出来事を。
人間とは、本当に面倒なものだ。
「……ふふっ。人外であるところの私が、ね。おかしな話だわ。」
『人外である』こと。
それこそが、私の。いや、私達の苦しむ原因。
私達は、人外であるが故に、この世界へとやって来た。
「ここには……笑顔も涙も、色々とあったけれど。」
それでも。いくら時が経っても、あの記憶は消えてくれない。
私は……吸血鬼。それは変わらない。その事実は、今こうして生きているが故に、変わることはない。
私と、フランと──そして。
「私が伝えなければ、あの子はちゃんと人間として生きていけるはずなのよね。」
言ってはいけないのだ。
あの日、何が起こったのかを。
私と貴女が、初めて出会った日のことを。
──────────
「うぅん?……お兄様?」
「あ、フラン。ようやく起きたね。頭痛くない?」
あれから少しして、レミリアが戻らないうちにフランが目を覚ました。
「……私、どうしてた?」
「……本当に聞きたい?」
「ごめんなさい、言わないで。聞くの怖い。」
うん。フランに酒を飲ませるのはやめよう。
あの量で、酔っていた時の記憶が無いなんて相当酒に弱い証拠だ。
「……何か、変なこと言ってなかった?」
「……いや、何も言ってないよ。『おにいひゃま』って言いながら抱きついてきたけど。」
ほんの一瞬、言うかどうかを逡巡し、結局言うのをやめた。
このことは、やはりレミリア本人に直接聞くべきだ。
「うぅぅ。忘れてねっ。」
「ははは。あれはあれで可愛かったけどね?」
色々と危なかったけど。
「そ、それならいいかな。」
いいのか。それでいいのか。
いや、可愛いと言ったのは僕なんだけども。
「あれ、そう言えばお姉様は?お姉様に『お礼』してこないと♪」
……お礼、だよね?
その笑顔がすごく怖いんだけど。お礼だよね?
「れ、レミリアなら霊夢の部屋に行ったよ。フランの酔いを楽にする為にチョコレートを探しに。」
「うん、ありがとうお兄様。お姉様にはしっかりと『お礼』しなくちゃだめだよね?」
なんだろう。フランの背後に鬼が見える気がする。
「そそ、そうだね。お礼はしっかりとしなくちゃね。」
「うん!じゃあ行ってくるね、お兄様。」
どこか怖い笑みを浮かべて、フランが広間を後にする。
レミリア、ごめん。余計なことを言ったら、僕が殺されそうだったんだ。
あの後、レミリアの悲鳴が博麗神社に響き渡ったのは、きっと気のせいだろう。
どうも、霊夢よ。
え、今回の私達って、寝てるだけじゃない?
登場すらしてないじゃない。
もう。レミリアだけ、何だか意味深な展開を作ってもらっちゃって。これは贔屓ね。
ちょっと作者に訴えてくるわ。
次回までゆっくり待っていなさいよね!