第55話 今はまだ
どうも、魔理沙だぜ。
フランのヤツ、大丈夫なのか?
とは言いつつも、私もフランが酒を飲んだらどうなるのか知らないから、気になるんだぜ。
「ちょっ、フラン!?」
「んん?どうしたんれすかぁ、おにいひゃま?」
あの、呂律まわってないんですけど。
「その子ね、酔うとそんな風になるのよ。」
「それは分かってる!それはいいから助けて!これは色々とまずい!」
なんだろ、少ししか飲んでないのに酒の匂いが凄い。
その上に、フランの良い香りが漂ってくる。
この香りは……薔薇か?
香水でもつけているのだろうか。
「とりあえずフラン、離れてっ。 」
「んー。……やれす!おにいひゃまにぃ、ぎゅー。」
抱きついてくるだけでは 飽き足らず、抱き締めてきた。
いや、あの。一応は年頃の男なわけでして。
流石にフラン相手にどうこうする気は無いけども。
本当に妹みたいな子ですからね。
「レミリアっ、助けて!」
「ん。仕方ないわね。キスしてくれたら助けてあげるわよ?」
「そういう冗談は良いから早く助けて!」
くそっ、紅魔館でどこぞの変態メイドから助けるのを焦らしたこと、まだ根に持ってたのか!?
「むむ……冗談なんかじゃないのになぁ。」
「なんでも良いから早く助けて!この子、どうしてか分かんないけど頬擦りを始めたんだよ!」
「何それ、羨ましいわね。……決めた!助けてあげない!」
可愛らしい笑顔でなんとも残酷なことを。
このままフランのスキンシップを耐えきれと?
「……理性が壊れて襲ったらどうするんだよ?」
「ふふっ。そんな勇気ないでしょ?それに……。フランはバカじゃないの。酔っていたってそういうのは覚悟の上なのよ。」
そういう問題ではない気がする。勇気がないのはごもっともだが。
「んん……おにいひゃま。」
フランがこちらを見上げる。だが、焦点が合っていない。
「おにいひゃまが……居てくれたら、おねえひゃまは……あんな風にくるひまずに──」
「ごめんなさい。少し悪乗りしすぎたわね。この神社、チョコレートとか置いてるのかしら。」
急に態度を変えて、フランの酔いを楽にするためにチョコレートを探し始めるレミリア。
明らかにフランの言葉を遮る為に、だろう。
『おねえひゃま』と口にしていた。何か聞かれたくないことでもあるのだろうか。
「チョコレートなら、霊夢の部屋に行ってみるといいよ。あいつ、お賽銭箱に入ってたお菓子やら何やらを部屋に置いてるみたいだからね。」
「そうなの?この神社も大変ね。……いっそ、優都だけでもうちに来たら良いのに。」
「……また今度ね。霊夢のヤツ、放っておくと何もしないから。」
「あら、フラれちゃった♪」
悪戯っぽく微笑んで、レミリアは部屋を後にする。
そんなやり取りをしている間に、フランは眠ってしまったようだ。
「……今はまだ、聞かなくても良いかな。彼女が話したくなるまで。」
彼女が部屋を出る時に聞こえたのは────
──彼にだけは、知られるわけにはいかないの。
そんな、感情の乗っていないひどく無機質な声だった。
どうも、霊夢よ。
うちの作者、毎回こんな終わらせ方するでしょ?
次回の展開が気になるような終わらせ方で、
もっと多くの人に、次を楽しみにしてほしいんだって。
人気の無い人間の考えそうなことね。
まぁ、あんなに下手くそじゃあ、誰も見てくれないのは当たり前だと思うけどね。
さて、なんだか後に繋がってきそうな展開が出てきたわよ?
いったいレミリアに何があるのかしら。
次回までゆっくり待っていなさいよね!