第48話 夢想と雷天
どうも、魔理沙だぜ。
またとんでもない設定を……。
あいつもよくやるぜ。
あ、『夢想天生』の持続時間の話は、オリジナル設定だから、原作には無かったはずだぜ。
──────────(view side Reimu)
紫達を囲んでいる無数の『影』に弾幕を放ち、注意をこちらに向ける。
ふと背後に目を向けると、紅蓮の炎が天を貫く勢いで立ち上っていた。
「派手な技ね……。さて、私も少しは時間を稼がないと!」
私の攻撃は通らない。それは分かった。
でも、全く効果が無いわけではない。
いくら意味がなくても、怯ませるくらいなら出来るかもしれない。
「結界で囲んだり、防御陣を張って守ったりね。……試してみる価値はありそうだわ。」
真っ直ぐ立って、相手を見据える。
そうしていたつもりだったが、膝が笑っていた。
情けないものだ。この博麗の巫女が。たかが異変の副産物でしかない物を恐れてるなんて。
……優都は、あんなにも真剣に私達を守ってくれてるっていうのにね。
私は何に怯えているのかしら。
「夢符『封魔陣』」
『影』を無数の弾幕が囲む。
果たしてどう出るか……?
「……あはは、私の妨害なんて、 意に介さないみたいね。」
『影』は、いとも容易く私の弾幕を掻き消した。
分かってはいたが、今回自分は役に立たないのだと再確認すると───
「なんだか、自信なくすわね……」
私があまりの無力さに落ち込んでいる間に、『影』は私を囲んでいた。
何とか、こちらに注意を向けることには成功したようだ。
なら、使ってやろう。
私にだって、秘策はあるんだ……!
「『夢想天生』」
私が使うスペルカードの一つで、簡単に言えば無敵技。
ただし、現実はそんなに甘くはなく。
持続時間はせいぜい五分。
五分を越えたら、無敵状態の間に受けたダメージと疲労がフィードバックする。
だから、これは本当に危ない時にしか使わない。
今回は、時間稼ぎ。
普通に戦えば、五分も持ちこたえることなんて出来ない。
「あと五分。五分だけ稼いであげるから、早く来なさい、優都っ!」
──────────
あぁ、骨が軋む音がする。
最後の悪足掻きなのか、三度槍が飛んできて、右肩、左足、脇腹を掠めていった。
貫かれなかったのは日頃の行いが良かったからかもな。
首筋なんてやられたら即死だったぞ。
「第四刀技『刃殺』」
残りの『影』を纏めて斬り裂く。こっちは片付いたか。
声すら上げないから、倒したのか分かりにくいな。
「まだ……居るのかよ。」
霊夢が行った方を見ると、『影』が何かを囲むように群がっていた。
「……流石に疲れたんだよなぁ。だから──」
──これで、最後にしたいんだ。
塗り潰せ。殺意を満たすんだ。
大切なものは何だ?
そこに居る人達だ。
それ以外は?
……全て殺せ。大切な人達を傷つけない方法なら、『影』どもはどんな手段で殺しても構わない。
──良かろう。
「我が、殲滅す。」
「出来れば、お前には出てきてほしくなかったよ。」
僕は力なく地面に座り込む。
僕の視線の先に居るのは、
雷を纏い、何メートルもある巨大な刀を持った少女。
いや、少女なのは見た目だけ。
その小さな身体が、圧倒的なほどの強大な力を放つ。
「代価は、頂くぞ。」
「あぁ、分かってる。それを覚悟で呼んだんだからな。」
「ふむ。では、参るッ!」
少女は、放つ。
あまりにも圧倒的な、その力の一端を。
どうも、霊夢よ。
あの子……誰なの?
何だか優都と知り合いみたいだけど……。
さぁ、もう次で異変は解決みたいね。
あの子についても次で語られるでしょう。
次回までゆっくり待っていなさいよね!