第47話 煉獄にて禍いを清めよ
どうも、魔理沙だぜ。
優都は格好いい技ばっかり使うな。
ずるいんだぜ。
まぁ、作者の厨二病全開なネーミングセンスが
影響してるんだけどな。
さぁ、50話までには今回の異変が解決するようなんだぜ。
もう少し待っててくれだぜ!
「な、どうしてっ!?結界は修復して、『影』は消えるはずじゃないの!?」
霊夢が戸惑いの声を上げる。
そんな簡単に終わるはずがないと、分かってはいた。
当たってほしくない予感が、完璧なほど見事に当たってしまったようだ。
決まっていた結末だとしても、出来れば何事も無く終わってほしかったものだが──
「つくづく、運が悪いみたいだね、僕は。」
「くっ……。優都、相手をお願いできる?」
「あぁ。結局はこいつら纏めて全滅させなきゃいけないんだろうしね。」
僕は『イマジネート・クリエイション』で刀を創造し、上段に構える。
こいつらは厄介だが、力で押しきれば倒せる。
ならば─────
「第二刀技『漣』」
衝撃波で周囲を薙ぎ払い、
「─────『桜吹雪』」
残った敵を殲滅し、
「第五刀技『玉兎』」
音すら追い付かないスピードで飛び回り、斬り捨てる。
それは、月夜に跳ねる兎のよう。
疾風怒涛のごとく乱れ舞う斬撃の中で、『影』は為す術なく斬り刻まれ、やがて消えていく。
繰り返し繰り返し、 やがて少し息が上がる頃には、そこに居た『影』は 1つと残らず消え失せていた。
「あんたって……本当に私と同じ人間なのか疑いたくなってくるわよね。」
「それは何回も聞いたよ。 今更言うまでもないけど、遺伝子的には人間だよ。 むしろ、人間であるところの君が空を飛んでいることの方が、よっぽどおかしいと思うけど?」
自分でもこの身体能力は異常だと思うけれど、 さすがに空を飛ぶなんてことはできないと思う。
ずっと疑問だったのだが、あれはどういう原理なのだろうか。
人間が空中で静止するのは物理的に無理だと思うんだけど。
「そこはほら。程度の能力だから。」
なるほど納得。
というか、これで納得する時点で、僕もなかなかこの世界の常識に浸透してきてるんだなぁ、と思ったり。
「じゃあ、紫達のところに行ってきてよ。こっちの相手は一人で出来るから。向こうにはそれなりに人数が必要だよね?」
「そう……ね。早苗の攻撃は通るけど、あまり大掛かりな技を使うと、周りの皆にも被害が出るからね。……極力、足止めや防御に徹するようにするわ。」
霊夢は僕のことを気にしているようだったが、向こうの様子も気になるのだろう、あちらの方へと向かった。
ほんの数メートル。けれど、敵の数が多く、囲まれているせいで、あちらの様子が全く見えない。
「……また出てきたな。早く片付けて、あっちの敵も潰しにいかないと。」
少し、身体を酷使するが、この際仕方ない。『神降ろし』を使うよりは、幾分かマシだろう。
「刀技、破の太刀『煉獄斬禍』」
その一太刀は、大気を焼き、炎すら放つ。
人間として、越えてはいけないライン。それを軽々と越える、人にあらざる者の力。
禍いを斬り、清めるための煉獄へと導く。
その一太刀は、浄化の光を帯びて。
「……願わくば、その禍い、煉獄にて清められんことを。」
刃に刻まれた禍いは、決して軽くはない。
この罪は、禍いはいずれ、僕自身も煉獄にて清めよう。
どうも、霊夢よ。
優都の『煉獄斬禍』。
あれはもう、本当に人の域を越えてるわね。
まぁ、今まで使っていた剣技はどれもそうだけどね。
罪ありし者を浄化する、天国でも地獄でも無い場所、それこそが煉獄。
禍いを斬り、煉獄へと導くというその技は、
まるで神の御業ね。
優都、強すぎるでしょ。
……弱点が無いわけでもないんだけどね。
これは、そのうち語られるわ。
次回までゆっくり待っていなさいよね!