第44話 ごめんなさい
どうも、魔理沙だぜ。
異変の原因が分かり、解決へと向かう。
そんな中、優都に何かが起こる……?
さぁ、優都は何者なのか?
まだまだ、謎は多いんだぜ!
「ん。なんだ?分かったのか?」
「ええ、やっと分かったわ。異変の解決法が、ね。」
──────────
「『常識』の崩壊だぁ?」
「そ。博麗大結界、別名『常識の結界』。この結界が、外の世界の常識と、幻想郷の常識を区切ってるのよ。」
なるほど、『常識の結界』に穴が空いてるってことは、そのまま『常識の崩壊』に繋がるのか。
「……待てよ?じゃあ、あの『影』はどこから来たんだ?まさか、あんなのが住んでる世界とここが繋がってる、なんて言わないよな?」
幻想郷は周囲を完全に結界に囲まれている。
だが、もしあんな化け物が居る世界と繋がっているなら、結界の穴が広がってしまったらそれこそおしまいだ。
「当たらずとも、遠からずね。あの『影』は、常識と常識の狭間から来ているわ。」
常識と常識の、狭間……?
あれは、そんな『無』の空間からやって来たのか。
「いや、ていうかなんで紫はそんなこと知ってるのさ。」
「それは、私の『境界を操る程度の能力』で見てきたからよ。」
へぇ、『境界を操る』ねぇ。
「紫はこれでも『幻想郷最強の妖怪』だからね。」
「え?……マジで?」
「ええ、本当よ。私は『幻想郷最強の妖怪』だから、貴方も気を付けなさいね。」
マジなのか……。
こうしてみると、妖怪と人間って、見た感じはどこも違いがないからね。
『人間だ』って言われても普通に信じそうだ。
「うぅん。それじゃあ、僕を刺し殺しに来た黒い槍?は何なの?」
「あれ、『影』みたいね。不定形のも居たけど、私達はそれしか見てなかっただけ。ああいう形を持った『影』も居るみたいね。」
あぁ、やっぱりか。
不定形の『影』もそうだったけど、明らかに僕を殺しに来てるんだよね。
音もなく突然現れたのは、
両方に共通している部分だ。
殺意が無いから気配も読めない。心も読めない。
「……『影』が外の世界から入ってきたなら、結界を修復することが、この異変の解決法よ。」
僕が考えを巡らせている間に、霊夢がそう結論づけた。
が、紫が思案顔で黙り込む。霊夢は他の妖怪たちにこのことを伝えに行ったようだ。
「どうしたの、紫。」
「え?……あ、いえ。なんでもないわ。」
手を振って『なんでもない』と繰り返す紫。
自分に言い聞かせているようにも思える。
ていうか、変なモーションを付けるな。余計に怪しいわ。
問いただすよりも早く、紫は霊夢のところへと駆けていった。
「……ふぅ。結界の修復は霊夢に任せるしかないか。」
───ねぇ。
「ん………?」
───あのね。
「なん、だ……ッ!頭が、割れる……!」
───やめてッ!
頭に直接流れ込んでくるその声。
強い感情の奔流。
感情の中で溺れそうな、息苦しい感覚。
これは、何だ?
痛いほどに流れてくる想い。
心が、壊れる。
───消えたくない。
僕の瞳は、急速に光を失い、無意識のうちに、涙が頬を伝う。
「……ごめん、なさい。」
虚ろにそう言葉が漏れて、
僕の意識は、暗転する。
どうも、霊夢よ。
優都、どうしたのかしら。
なんだか、また気になる事態が起こったわね。
結局、優都は何者なのかしら?
そして、紫は何かを心配しているみたいね。
一体何なのかしら。
次回までゆっくり待っていなさいよね!