第42話 危うき殺意
どうも、魔理沙だぜ。
私としては、まだ前回の話が気になるところだが、
あの話が詳しく語られるのは、まだ先になるんだぜ。
そろそろ本格的に異変解決へと動き始めるぜ。
──────────
意識は────覚醒する。
音が……聞こえる。
あぁ、僕は生きてるのか。
それとも、『生き返った』のか?
視界が歪んでいる。というか、全体的に紅いな。
「あはは……血か。」
「ゆ、ゆうと……?優都?」
おぉ、レミリア。目が紅いな。ん……?僕の視界が紅いだけか?
見開いたレミリアの瞳から、雫が僕の顔に零れ落ちる。
「……泣くなよ。顔に零れてきて冷たいじゃないか。」
「だっ、だって……。死んだんだと思ったじゃない!」
そう言っている間も、僕の顔に涙が降ってくる。
「悪かった、悪かったよ。心配かけて、ごめんね。」
「本当よ……。もう、私を泣かせたんだから、責任をとりなさい。」
せ、責任っ!?そ、そそそれはどういうことだ!?
「せ、責任って……?」
「それはもちろん、私のことをこ────あぅっ!?」
何かを言いかけて、レミリアが吹き飛ばされた。
「ちょっ、霊夢!?あれって大丈夫なのか?」
「それはこっちの台詞よ!あんた、大丈夫なのね?死んでないわよね?」
霊夢が僕の肩を持って前後に揺らしてくる。
やめい。頭がくらくらする。
よく見たら、霊夢の頬には涙の跡がくっきり残っていた。
強がって涙を拭ったんだろうけど、目が赤いのがバレバレだ。
「大丈夫、なんだと思うよ。身体は動くし、声は出る。耳もちゃんと聞こえるよ。」
「大丈夫、なのよね?嘘だったら容赦しないからね?」
あれ、なんで脅されてるの僕。
心配してくれてたんじゃないの?
「そんなに確認しなくても、僕は大丈夫だよ。ちゃんと生きてるから。」
僕は安心させるために微笑んでみせる。
霊夢は僕の胸に顔を埋めて、声を殺して泣き出した。
よほど、心配してくれたんだな。
これは悪かったよ。
霊夢の頭を撫でながら、泣き続ける霊夢が泣き止むのを待つ。
周りを見回すと、みんな目を丸くしてこちらを見ていた。
「えと……どうしたの?」
「お兄様、いつからそんなに霊夢に懐かれてたの?」
霊夢はペットか。
これは懐いてるって言わないだろ。
「いつからってそりゃ……いつからだろ。」
霊夢がこんなに僕のことを心配してくれるようになったのは……初めて『影』と戦った時からか。
「も、もう大丈夫よ。うん、優都が無事で良かったわ。」
「信じられないよ。あの霊夢が、『無事で良かった』なんて言うんだもん。」
「あんたは私のことを何だと思ってるのよ。」
彼女達の霊夢の印象がなかなかに気になるところだ。
「でも……優都が無事なのは良かったけど。」
急に、霊夢は燃え盛るような強烈な感情を瞳に宿して、
───絶対に、殺すわ。
と、静かに激情を爆発させた。
その猛烈な殺意の宿る瞳は、危うい光を宿して、
暗闇を見上げる。
───許さない。必ず、必ず殺してあげる。
どうも、霊夢よ。
もう、許さないわ。
なんだかヤンデレ化してない?
作者のヤツはヤンデレが苦手だから、
ヤンデレ設定は使ったことがないのよね。
ま、すぐ元に戻るわ。
次回までゆっくり待っていなさいよね!