第40話 形ある絶望
どうも、魔理沙だぜ。
もう気づけば40話だな。
正確な話数は決まってないが、
100話以上は続く予定なんだぜ。
どんな結末になるか、楽しみにしててほしいんだぜ。
それと、今回は少しだけ長めだぜ。
──────────
「それで?結局は優都が勝ったわけね?」
「そう、なるかな。妖夢も僕のことを認めてくれたみたいだし。」
あの後、妖夢に
『この異変が解決したら是非、白玉楼に遊びに来てください!』と散々言われた。
そのうち遊びに行ってやろう。
「……そう。やっぱり強いわね、あんた。剣の扱いでもあの妖夢に勝っちゃうなんて。」
確かに妖夢は強い。だが、まだ動きが読みやすい。
全てを頭で処理するから、行動の方が追いついていない。
こればかりは、才能や経験、乗り越えてきた死線の数なんてものが関係する。
妖夢がどれだけの経験を積んできたのかは知らない。
けれど、毎日血塗れになるほど剣を振るい続けているわけでもないだろう。
「おーい。紅魔館組を連れてきたぞー。」
魔理沙と紅魔館の面々。
何だか知らないが、咲夜がこちらを睨んでいる。
何か悪いことでもしただろうか?
「お姉様だけずるい。フランだってお兄様と一緒に居たかった。」
この子は状況を分かっているのだろうか。
僕と一緒に居たところで良いことなんかないぞ、フランよ。
「くっ……。どうして優都だけ私だって居るのに妹様やお嬢様に好かれるのはなんでいつも優都なのどうして!?」
なんだろう。後ろのメイドさんが物凄く怖いんですが。
怨念みたいなのが伝わってくるんですけど。
「お兄様は私が守ってあげるからね。お兄様の役に立てたら、嬉しいな……?」
僕の腕に抱きついて、上目遣いでそんなことを言ってくるフラン。
な、なんだこの可愛さ。
天使なのかこの子は。
「だ、ダメよ!優都は私が守ってあげるんだから、フランは『影』の足止めでもしてなさい。」
妹に張り合ってもう一方の腕に抱きついてくるレミリア。
ちょっと涙目になってるところが可愛い。
なんだ、このハーレム。
なるほど、僕はここで爆発するのか。
「うぅ……羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい。」
咲夜さんに呪い殺されそうなんだけど。
この人、この姉妹のこと好きすぎるだろ。
どんだけ溺愛してるんだよ。
「あれ、美鈴は?紅魔館のメンバーで、彼女だけいなくない?」
「あぁ、流石に門番が居ないのは問題ですから。彼女と……貴方は会ってないかもしれませんが、図書館の司書をしている小悪魔や他にも何人か、待機してもらっていますよ。」
そうか。幻想郷の面々が集められるこの事態に乗じて、何か起こらないとも限らないからな。
「他にもまだ来るのか?」
「ん?まだまだ来るんだぜ。あとは、地霊殿とか、迷いの竹林とか……。」
へぇ、結構居るんだな。
まぁ、妖怪や妖精、いろんな種族が居るんだ。本当にまだまだ居るんだろう。
「それじゃあ、僕は今来ているみんなに挨拶でもして───」
──────優都ッ!!
その声。
誰が叫んだのかは分からなかった。
けれど、その声を聞いて、僕は声の主ではなく、夕暮れ時、紅に染まる空を見上げる。
それは、唐突に。
それは、音もなく。
それが、何なのかも分からぬうちに。
空から飛来した『何か』は、狙い澄ましたように、ある一点へと向かう。
───僕のところに。
重力に引かれて、力なく崩れ落ちる身体。
鮮血。視界が紅く染まる。
あれ。これって、僕の?
流れ出る血液は止まる様子はない。
他人事のようにも感じられる、あまりにも突然な刹那の出来事。
誰かの悲鳴が聞こえた気がする。
意識が朦朧としてきた。
誰かが近くで泣き叫ぶ。これは……霊夢かな。分からないや。
あはは、これが彼女たちに近づいた、天罰かな。
薄れゆく現実の中で僕は、形ある絶望を感じた。
どうも、霊夢よ。
突然の出来事。
私、何も出来なかったわ。
どうして作者のヤツは、優都を傷つけてばかりなのかしら。
……自分と、重ねてるからか。
次回までゆっくり待っていなさいよね。