第34話 少女達の想い、蒼眼の剣神
どうも、魔理沙だぜ。
前回の最後でレミリアが言っていたことの意味が、ここで分かるみたいだぜ?
また私の出番が減ってきて、少し寂しいんだぜ。
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「……参ったなぁ。今の身体の状態でこの数を相手にするのは流石にきついよ。」
魔法の森の近くに降りた僕を出迎えたのは、数百もの『影』。
おそらく、この一体一体がアリスの家の前で戦った『影』と同等の強さだろう。
「疲労してる人間に、この仕打ちはないんじゃないっすかね。」
愚痴を言っても聞きやしない。
本当に、ただの怪物だ。
「……これは、仕方ないか。」
割りきれ。僕に、心なんてものは無い。
僕は………道具だ。
「………心を絶ちて神を降ろす。」
ごめん、姉さん。
ごめん……霊夢。
──────────(view side Reimu&Remilia)
「手遅れって、どういうことよ………?」
「……そのままの意味よ。ここに来るまでに、何度か得体の知れない『影』に襲われたわ。攻撃は一切効かない。あれが、優都が戦った相手、なんでしょう?」
……嘘だ。あんな化け物が、まだ無数に居ると言うのか?
勝てるわけがない。
「だから、私は優都に助力を求めるつもりでもあったのよ。おそらく、あれは私達では傷一つ付けられないから。」
……私の、せいだ。
あんなに疲弊していた優都が、もし『影』に囲まれてしまったら。
勝てるはずがない。
「それで?どうするの、優都が大好きな極貧巫女さん。」
「うるさいわね、優都が大好きなお嬢様吸血鬼。助けに行くに決まってるじゃない。」
攻撃は通用しない。
でも、それはダメージを与えられないだけ。
それなら、出来ることはある。
「結局は、優都に負担を強いることになるのだけどね。」
「うっ……。出来る限りのサポートはするわよ。そこから先は私達には対処のしようがないもの。」
優都の傷の具合にもよるが、隙を見て逃げることになるのだろう。
ただ、敵の数があまりにも多い時は───
「最悪、私達も囲まれて終わってしまうわね。」
どうやらレミリアも同じことを考えていたようだ。
「……行かなければ優都が危ないのも事実よ。」
「……優都の為に命を懸ける覚悟が、貴女にあるの?」
「愚問ね。あんたのことだから、分かってるんでしょ?私たちのこと命を懸けて守ってくれる人の為だもの。」
覚悟なんて、二の次だ。
優都の助けになりたい。彼の役に立ちたい。
彼は……大切な人だから。
「ふふ。ツンデレ巫女が随分と素直になったじゃない?」
「500年も生きてきてまだ純情ぶってるあんたにそんなこと言われたくないわよ。無駄口叩いてないで、早く行くわよ。」
霊夢とレミリアは空へと飛び立つ。
空から見下ろす幻想郷。
突如、魔法の森の方で、レーザーのような一筋の光が放たれる。
あの光は───雷?
魔法の森へと向かった霊夢達が目にしたのは、
無数の『影』の軍勢と、
時折バチバチと音を立てる雷を纏い、
血塗れで鬼神の如く刀を振るい続ける
蒼い瞳の少年───優都だった。
どうも、早苗です。
霊夢さんとレミリアさんは本気で優都くんのことが好きみたいですね。
私も負けていられません!
さぁさぁ次回は───見てからのお楽しみです!
次回までゆっくり待っていてくださいね。