第33話 本当の想い、そして絶望へのカウントダウン
どうも、魔理沙だぜ。
どうやら、まだシリアス展開は続くみたいなんだぜ。
これから異変はどこへ向かうのか。
私もすごく気になるんだぜ!
「……彼は、優しい人よ。でも、そうじゃない。単なる優しさだけじゃなくて、命を懸けても私達を守ってくれる人。」
「それは!……知ってるわよ、そんなこと。」
「……知っているなら、どうして彼の優しさを否定したの?」
それは………。
その優しさが自己犠牲の上に成り立つものだから?
……違う。きっと、私は──
「私は……その優しさのせいで優都が私から離れていくのが怖かった。」
───────本当に?
本当に、それだけか?
それだけで、優都を否定した理由になるのか?
「……ふふっ。まだ、嘘を吐くの?」
「べ、別に嘘なんて───」
「いいえ。貴女は嘘を吐いているわ。私と同じ相手を好きになった貴女だもの。」
そんなの、嘘を吐いている根拠になんてならない。
でも、不思議とレミリアの目には、確信の色が見てとれた。
「……私は、優都が私だけを救ってくれるヒーローじゃないことが嫌だった。」
本当の気持ちは、息をするようにあっさりと、言葉にすることが出来た。
「ふふ。博麗の巫女は欲張りなのね。」
「……うるさいわね。あんただって同じなんでしょ?」
「そうね。私は欲求不満だから優都を部屋に呼んでそのまま」
「それ以上言ったら消すわよ吸血鬼。」
まったく、油断してたら何を言い出すか分かったものじゃないわ。
どうしてこいつら吸血鬼はこんなに大胆なのかしら。
「それで?貴女は彼が『自分の為に命を懸けてくれる素敵な王子様』じゃなくて、『みんなの為に命を懸ける素敵な王子様』だから嫌だった、それだけよね?」
「誰もそこまでは言ってないわよね!?」
「別に間違ってはないでしょう?」
あながち間違いではないから言い返せないのが悔しい。
「……それだけを聞くと、私がただの欲張りな女みたいじゃない。」
「あら、違うの?」
……。何この女心底ムカつく。
嫌な笑みを浮かべてるところが余計にムカつく。
「あ、あんたの方はどうなのよ。優都とどうなりたいの?」
「それはもちろん、恋人になって、一緒に過ごして、キスとかして、その……先も。」
「その先って?」
「だ、だから。その……こ、こっこここここ──言えるわけないでしょ!?」
顔を真っ赤にして怒るレミリア。
私を散々にからかってくれた仕返しだ。
「ふふっ、そうね。あんたも私と同じだって、分かったわ。」
「……まぁ、あんなことを言った時点で貴女の評価はガタ落ちでしょうけどね。ここで私が仕掛けたら、貴女の負けは見えたようなものだけど。」
「うぐっ……。私の自己中心的な考え方が招いたことだもの。ちゃんと自分で解決しに行くわ。」
結局、悪いのは私だ。
優都の優しさを自分だけに向けてほしかった、ただそれだけの理由。
早く、優都に謝りたい。
「………その件だけどね。」
「………………え?」
先ほどまでとは違う、真剣な表情でレミリアが話す今の状況は、霊夢を絶望へといざなうには充分すぎた。
───もう、手遅れかもしれないわ。
どうも、早苗です。
最後にレミリアさんがすごく気になることを言いましたね。
次はどうなるのでしょう?
次回までゆっくり待っていてくださいね。