第32話 想いは、ぶつかって。
どうも、魔理沙だぜ。
今回もシリアスだな。
もう少しシリアスが続く予定なんだぜ。
作者のヤツが
『初めてヒロイン達の気持ちのぶつかり合いとか書くんだけど、上手く書けるかな?』
とか言ってたんだぜ。
きっと下手くそだから、暖かい目で見守ってやって欲しいんだぜ。
──────────
……ふぅ。
「あはは。きっついなぁ。」
近寄らないで、か。
今まで、何度も、数えるのも嫌になるくらい同じことを言われてきたのに。
霊夢に言われたのは、心に深く突き刺さった。
「おかしな話だな。まだ出会って数日の霊夢の言葉が、こんなにも重く感じられるなんて。」
長い時間を共に過ごした家族に言われたって、こんなに深く傷ついたりしなかった。
なのに、どうしてたった数日の付き合いの霊夢の言葉で、ここまで深く傷つくのだろう。
「……分からないものだ。霊夢の気持ちも、自分の心も。」
………。さて、何処に行こうか。今、何をしようか。
「そうだな。とりあえずはあちこち歩き回ってみるか。」
異変の調査も兼ねて。
こっちの世界は、知らないことが多すぎる。
僕は『イマジネート・クリエイション』を発動して、『空を駆ける』靴を創造する。
「……よし。行こうか。」
──────────(view side Reimu)
どうして。どうして分からないのよ。
この数日。たった数日でも、私は優都のことをとても大切に思っている。
「どうして、そんなことすら伝わらないのよ。」
どうして、無茶ばかりするのよ。心配してるのに。
どうして、自分を犠牲にするのよ。
何も分かってない。優都は、私がどれぐらい優都を大切に思っているか、全然分かってない。
それに。
「どうして優都は、出会って数日しか経ってない私たちを守るのに、あそこまでしてくれるのよ……。」
『神降ろし』のことは聞いた。
その力の代償のことも。
三分で身体がボロボロになり、五分で皮膚が裂け、血が吹き出し、八分で死に至る。
「あんな力を、どうして私たちのためなんかに。」
「彼がそれくらい、貴女達を大切に思ってるんでしょ?」
正面から人の声。
居たのは、紅魔館の主だった。
私を見て、心底呆れたとでも言いたげな顔をしている。
「……何をしに来たの、レミリア。」
「ちょっと彼の様子を見に、ね。聞いた話だと、随分な相手と戦ったそうじゃない?」
「……何処から聞いたのよ、それ。」
「さぁね。何処かの鴉天狗かもね。」
……文か。あいつも余計なところで動き回るんだから。
「……貴女は何をしていたの、博麗の巫女。」
「……逃げたわ。お前には何も出来ないから、って。」
そう言った途端、レミリアが私の胸ぐらを掴み上げた。
「一応謝っておくわ。さっきの優都との出来事、見ていたわ。ごめんなさい。」
「………………。」
「正直言って、貴女には失望したわよ。優都の言葉や気持ちには耳を貸さず、自分の言葉は聞いて欲しい、理解して欲しい?何も出来なくて逃げた貴女が、いったい何様のつもりなの?」
何も言わない私を見て、レミリアはひどく冷たい目をして、私を突き飛ばすように放した。
「さっき、神社から出ていく彼を見たわ。相当傷ついていた。その上でもまだ笑おうとして。」
「…………そう。」
「……本当に、貴女には失望したわよ。私の恋敵がこの程度の人間だったなんて、本当に興醒めだわ。」
……恋敵?
私は驚きで、レミリアの顔を見つめる。
どうも、早苗です。
また私が代わりに呼ばれました。
次回はレミリアさんと霊夢さんが………?
ふふ。続きは本編で。
次回までゆっくり待っていてくださいね。